特定保健指導と管理栄養士|指導の流れと関わり方

特定保健指導で管理栄養士が担う役割と指導の流れを解説する記事のアイキャッチ

当サイトの記事は編集部が厚生労働省・文部科学省などの公的機関や日本栄養士会など公式団体の公開情報、読者の声を調べて独自に執筆しています。

『特定保健指導の求人を見たけど、管理栄養士は何をするんだろう』と気になっている方も多いですよね。保健師の仕事というイメージが強く、管理栄養士の出番が分かりにくい分野です。

結論から言うと、特定保健指導管理栄養士として働く場合、初回面接・支援計画の作成・評価という中心の仕事を、医師や保健師と同じ立場で担えます。食事の話を軸に、相手が生活を見直すのを3か月ほど伴走する仕事です。

この記事を読めば、指導の流れと、管理栄養士としての関わり方が分かります。

目次

特定保健指導とは?管理栄養士はどこを担う?

先に結論

特定保健指導は、特定健診の結果から生活習慣の見直しが必要とされた人に行う支援です。初回面接・計画づくり・評価は、医師・保健師・管理栄養士が行うとされています。

厚生労働省の「標準的な健診・保健指導プログラム(令和6年度版)」では、対象を40歳から74歳の被保険者・被扶養者としています。健診の結果をもとに、「動機付け支援」か「積極的支援」のどちらかを行います。

令和6年度(2024年度)からは第4期に入っています。制度の細かな点は見直されることがあるので、最新は厚生労働省の特定健診・特定保健指導のページで確認してみてください。

誰が何を担うか担当できる人(令和6年度版プログラム)
初回面接医師、保健師、管理栄養士
行動目標・支援計画の作成医師、保健師、管理栄養士
保健指導の評価医師、保健師、管理栄養士
食生活・身体活動の実践的な指導上の3職種のほか、食生活改善指導や運動指導の専門的な知識・技術を持つ人

一定の実務経験がある看護師も、令和11年度末までは初回面接などを担えるとされています。

栄養士でも関われる?

『栄養士の免許だけだと、特定保健指導はできない?』という疑問もよく聞きます。初回面接や計画の作成、評価を担う職種として名前が挙がっているのは、管理栄養士です。

一方、食生活の実践的な指導は、専門的な知識・技術を持つ人も行えるとされています。どこまで任されるかは職場によるので、求人票の「担当業務」で確かめておきましょう。

病院などの栄養指導とはどう違う?

『病院でやる栄養指導と、何が違うの?』と思う方もいるはずです。いちばんの違いは、相手が治療を受けている人か、健診で生活の見直しをすすめられた人か、というところです。

特定保健指導
  • 健診の結果をきっかけに始まる
  • 生活の中で続けられる行動目標を一緒に決める
  • 3か月ほどの期間で振り返る
療養のための栄養指導
  • 治療を受けている人が対象になる
  • 主治の医師の指導を受けて行う
  • 治療の方針に合わせて進める

栄養指導全体の流れは、栄養指導とは?管理栄養士が行う栄養相談の流れで紹介しています。

動機付け支援と積極的支援はどう違う?

違いは「支援の回数と長さ」

動機付け支援は原則1回の支援をして3か月後に評価、積極的支援は3か月以上続けて支援してから評価します。同じ管理栄養士でも、相手との付き合い方が変わります。

2つの支援の違いを、表で比べてみました。

比べる点動機付け支援積極的支援
支援の回数原則1回初回面接のあと、3か月以上続ける
評価の時期3か月経過後継続的な支援のあと
評価の考え方行動目標の達成状況などを確かめるアウトカム評価とプロセス評価を合わせて180ポイント以上の支援を行う
管理栄養士の関わり1回の面談で、自分で続けられる目標を一緒に決める何度かやりとりしながら、目標の見直しを支える
動機付け支援と積極的支援の違いを比べた図解

積極的支援のアウトカム評価には、腹囲2cm以上かつ体重2kg以上の減少などが例として示されています。

『ポイントって何だか難しそう』と感じますよね。現場では、職場ごとに決まった記録の様式があることが多いので、最初はその使い方を覚えるところから始まります。

初回面接から評価までを手順表で見る

この記事のおすすめ

特定保健指導の仕事は、健診のあとから評価までの一本の流れです。手順ごとに「管理栄養士が準備すること」を決めておくと、初めてでも迷いにくくなります。

ここが、この記事でいちばん伝えたいところです。特定保健指導の流れを、管理栄養士の目線で手順表にしてみました。

手順やること管理栄養士が準備すること
1 健診結果を受け取る対象者と支援の種類を確かめる健診の結果と、問診の回答に目を通す
2 初回面接生活の様子を聞き、目標を一緒に決める食事の聞き取りの質問と、見せる資料をそろえる
3 行動目標・支援計画続けられる行動目標と、支援の予定を決める目標を「何を・いつ・どのくらい」で書けるようにする
4 継続的な支援(積極的支援)3か月以上、面談や連絡で支える前回の目標と、できたこと・できなかったことを記録する
5 評価3か月経過後などに、取り組みを振り返る目標の達成状況と、本人の気持ちの変化をまとめる
特定保健指導の初回面接から評価までの流れを5つの手順で示した図解

プログラムでは、健診のあと早めに初回面接を行うことがすすめられています。結果が出てから時間がたつと、本人の関心が薄れてしまうからです。

初回面接では「できそうなこと」を聞く

初回面接は、管理栄養士の力がいちばん活きる場面です。食事の話は毎日のことなので、相手の生活が具体的に見えてきます。

例えば、こんな会話です。

「夜はどうしても遅くなって、帰ってからたくさん食べちゃうんです」
「そうなんですね。夕方に何か少し食べておくのは、できそうですか?」

正しい食事を一方的に伝えるより、相手が『これならできそう』と思える行動を一緒に探すのがコツです。

初回面接で確かめること
  • 健診の結果を、本人がどう受け止めているか
  • 平日と休日で、食事の時間や内容がどう違うか
  • 料理をするのは本人か、家族か、外食や買って済ませることが多いか
  • 本人が「変えてもいい」と思える行動はどれか
  • 次に連絡する時期と方法

継続的な支援では「前回の続き」から話す

積極的支援では、初回面接のあとも面談や連絡を重ねます。毎回いちから話を聞き直すと、相手は『また同じ話?』と感じてしまいますよね。

前回決めた目標を記録から確かめて、「この前のあれ、どうでした?」と続きから話し始めるのがおすすめです。うまくいかなかった時は、目標を小さくし直すだけでも十分な支援になります。

評価では「続いたこと」に目を向ける

評価の時期には、目標をどれだけ達成できたかを振り返ります。数字の変化だけでなく、続けられた行動に目を向けて声をかけると、その先も続けやすくなります。

よくある失敗

初回面接で、目標を一度にたくさん決めてしまうことです。相手が続けられず、次の連絡で気まずくなりがちなので、最初は1つか2つにしぼっておきましょう。

管理栄養士はどんな形で特定保健指導に関わる?

働く場所はいくつかある

特定保健指導には、行政、医療機関、保健指導を受託する事業者など、いくつかの立場から関われます。常勤だけでなく、パートや業務委託の形もあります。

特定保健指導に関わる働き方を、立場ごとにまとめてみました。

立場特定保健指導との関わり方関連する記事
行政(市町村など)住民の健診や栄養の相談の一つとして関わる行政栄養士
医療機関健診を行う病院やクリニックで、面談を担当するクリニック
保健指導を受託する事業者企業や保険者から受けた指導を担当する転職・パート
業務委託事業者と契約し、面談ごとに担当するフリーランス

行政で働く管理栄養士の仕事は、行政栄養士とは?保健所・市町村での仕事内容で詳しく紹介しています。外来での栄養相談との違いが知りたい方は、クリニックの栄養士・管理栄養士|外来での栄養相談の仕事も参考にしてみてください。

今の経験はどう活きる?

特定保健指導の仕事は、ほかの職場で身につけた力がそのまま活きる場面が多いです。

今の職場特定保健指導で活きる経験
病院食事の聞き取りや、記録を残す習慣
給食の現場献立や食材の知識を、具体的な料理の例で伝える力
保育園・学校分かりやすい言葉で伝える力
行政健診の流れや、地域の健康づくりの知識

『面談の経験がないから無理かも』と思っていた方も、今の仕事のどこが活きるかを書き出してみると、意外とつながりが見えてきます。

特定保健指導担当管理栄養士という認定もある

日本栄養士会の「特定分野別認定制度」の中に、特定保健指導担当管理栄養士があります。この分野で専門性を高めたい人の目標の一つになります。

認定の要件や受け方は、日本栄養士会の公式の案内で確認してみてください。ほかの認定制度との関係は、専門管理栄養士・認定管理栄養士とは?キャリアアップの資格でまとめています。

栄養士ガイド

栄養士・管理栄養士の学校や講座を比べたい方へ

栄養士・管理栄養士をめざす道は、大学・短大・専門学校(養成施設)の選び方で大きく変わります。働きながら管理栄養士国家試験をめざす人には、試験対策の講座という選択肢もあります。気になる学校や講座の資料を取り寄せて、実習や国家試験の支え方、通いやすさを同じ物差しで見比べるのが近道です。比べ方のポイントをまとめました。

無料学校・講座の資料請求と比べ方を見る

栄養士の免許につながるのは、都道府県知事などが指定した養成施設です。指定の有無は学校の案内や公的機関の情報で確認できます。

特定保健指導の仕事でよくある相談

気になるのは「働き方」と「準備」

特定保健指導の仕事についての相談では、業務委託の働き方、有利な資格や勉強、パートとして関わる時の考え方がよく出てきます。

相談1 業務委託の特定保健指導は、どう考えればいい?

『求人で特定保健指導の業務委託を見つけた。管理栄養士として受けても大丈夫?』という相談です。雇われる働き方とは違うので、迷いますよね。

業務委託は雇用とは違い、契約の中身は事業者ごとにかなり違います。時間の自由がききやすい反面、担当する件数で収入が変わる契約もあります。契約の前に、次の点を確かめておきましょう。

業務委託の契約前に確かめること
  • 1件あたりの面談の流れと、記録にかかる時間
  • 面談の場所(訪問・オンライン・会場)と移動の扱い
  • 使う資料や記録の様式が用意されているか
  • 分からないことを相談できる窓口があるか

在宅やオンラインでの働き方は、管理栄養士のフリーランス・副業|オンラインでできる仕事でも紹介しています。

相談2 この仕事に有利な資格や勉強はある?

『特定保健指導の分野で働きたい。何を勉強しておくといい?』という相談です。

結論から言うと、まずは管理栄養士として「話を聞いて、行動目標を一緒に決める」練習を重ねるのが近道です。そのうえで、日本栄養士会の特定保健指導担当管理栄養士の認定を目標にするのも一つの方法です。

相談3 若いうちにパートで関わっても大丈夫?

『20代の管理栄養士で、特定保健指導のパートと、ほかの非常勤の仕事で迷っている』という相談もあります。

どちらがよいかは、将来どんな仕事をしたいかで変わります。面談の経験を積みたいなら特定保健指導、地域の仕事を広く知りたいなら行政の仕事、というように、何を身につけたいかで選んでみてください。

迷った時は、次の点を書き出して比べてみると、自分の答えが見えやすくなります。

  • 3年後にどんな仕事をしていたいか
  • 面談の経験と、地域の仕事の経験のどちらを先に積みたいか
  • 勤務日数や時間が、今の生活に合っているか
  • 仕事の中で相談できる先輩や窓口があるか

どちらを選んでも、管理栄養士としての経験はきちんと積み上がっていきます。焦らず、自分の生活に合うほうを選んでみてください。

よくある質問

特定保健指導は管理栄養士でもできますか?

できます。令和6年度版のプログラムでは、初回面接、行動目標・支援計画の作成、評価を医師・保健師・管理栄養士が行うとされています。

特定保健指導の対象は誰ですか?

40歳から74歳の被保険者・被扶養者のうち、特定健診の結果から生活習慣の見直しが必要とされた人です。

動機付け支援と積極的支援の違いは何ですか?

動機付け支援は原則1回の支援をして3か月経過後に評価します。積極的支援は初回面接のあと3か月以上の継続的な支援を行い、その後に評価します。

特定保健指導の仕事に役立つ認定はありますか?

日本栄養士会の特定分野別認定制度に、特定保健指導担当管理栄養士があります。要件や受け方は、日本栄養士会の公式の案内で確認してください。

栄養士の免許で特定保健指導の仕事はできますか?

初回面接や計画の作成、評価の担当として名前が挙がっているのは管理栄養士です。食生活の実践的な指導は専門的な知識を持つ人も行えるので、担当業務は求人ごとに確かめてください。

まとめ

この記事の要点
  • 特定保健指導は、特定健診の結果から生活習慣の見直しが必要とされた40〜74歳の人への支援
  • 初回面接・支援計画・評価は、医師・保健師・管理栄養士が担う
  • 動機付け支援は原則1回、積極的支援は3か月以上続けて支援する
  • 初回面接から評価までを手順表にすると、準備することが見えやすい
  • 行政・医療機関・受託事業者・業務委託など、関わり方はいくつかある

特定保健指導は、管理栄養士が食事の話を入り口に、相手の暮らしに寄りそえる仕事です。自分に合う関わり方を考えるところから始めてみてください。

栄養士ガイド

栄養士ガイド 編集部

栄養士・管理栄養士の仕事内容、資格の取り方、管理栄養士国家試験、病院・保育園・学校・介護施設・行政など職場ごとの働き方を、公的機関の公開情報をもとに整理している情報サイトです。 公式サイト

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次