栄養士のやりがいと大変さ|働く前に知っておきたいこと

栄養士のやりがいと大変さを職場別に紹介する記事のアイキャッチ

当サイトの記事は編集部が厚生労働省・文部科学省などの公的機関や日本栄養士会など公式団体の公開情報、読者の声を調べて独自に執筆しています。

『栄養士のやりがいって何だろう。ネットで調べると大変な話ばかり出てきて不安』という方も多いですよね。これから学校を選ぶ人も、働き始めたばかりの人も、気になるところだと思います。

結論から言うと、栄養士のやりがいは「食事を通して、人の毎日を支えている実感」にあります。そして、大変さの多くは職場の仕組みによって変わるんです。

この記事を読めば、職場ごとのやりがいの違いと、「きつい」と感じた時にどこを見直せばいいかが分かります。

目次

栄養士のやりがいを感じやすい5つの場面

先に結論

栄養士・管理栄養士のやりがいは、食事を作る、届ける、伝えるという3つの仕事の中にあります。どの場面で手応えを感じやすいかは、人によって違います。

栄養士の仕事は、職業情報提供サイトでは「栄養に関する指導・助言」と「給食の管理」の2本立てで紹介されています。献立を作り、栄養計算をし、食材の発注もする仕事です。

その毎日の中で、やりがいを感じやすいのは次のような場面です。

やりがいを感じやすい場面
  • 自分が立てた献立の食事を、利用者が残さず食べてくれた時
  • 栄養相談をした人から「やってみます」と前向きな言葉が返ってきた時
  • 子どもたちが給食の話題を楽しそうに話している時
  • ほかの職種と相談して、一人ひとりに合う食事を形にできた時
  • 行事食や季節の献立で、食事の時間がにぎやかになった時

例えばこんな場面です。保育園で苦手な野菜を残していた子が、調理の工夫で少し食べられるようになった。数字には表れにくいけれど、こういう小さな変化が積み重なっていきます。

実は、やりがいの感じ方は「人と話すのが好きか」「黙々と作るのが好きか」でも変わります。自分がどちらに近いかを考えておくと、職場選びにも役立ちますよ。

向き不向きをもっと詳しく知りたい方は、栄養士・管理栄養士に向いている人の特徴と自分の確かめ方も読んでみてください。

管理栄養士のやりがいは「一人ひとりに合わせる」こと

管理栄養士のやりがいは、栄養士のやりがいに「個別の対応」が加わる点が大きいですよね。栄養士法では、管理栄養士の業務として、療養のための栄養指導や、一人ひとりの状態に合わせた栄養指導が書かれています。

病院では、医師や看護師と共同で入院患者の栄養状態を確認し、栄養管理計画を作ることが入院基本料の要件に入っています。チームの一員として意見を求められることは、管理栄養士ならではの手応えです。

資格やりがいを感じやすいポイント
栄養士献立作成や給食管理で、たくさんの人の毎日の食事を支える
管理栄養士一人ひとりの状態に合わせた栄養指導や、チームでの栄養管理に関わる

『栄養士のままだと、やりがいが少ないのかな』と不安になった方もいるかもしれません。そんなことはありません。大人数の食事を安全に毎日届けることも、大きなやりがいのある仕事です。

学生のうちにやりがいを確かめる方法

『働く前に、自分がこの仕事にやりがいを感じられるか知りたい』という学生さんもいますよね。そんな時に役立つのが、学校の校外実習です。

栄養士法施行規則では、「給食の運営」の校外実習を1単位以上行うことになっています。学校給食センターや事業所、保育所などで、実際の給食の現場を体験できる機会です。

実習では、作業の手順だけでなく、働いている栄養士の方に「どんな時にうれしいですか」と聞いてみるのもおすすめです。現場の言葉を聞くと、自分に合う職場のイメージがぐっと具体的になります。

実習の中身や準備は、栄養士の学校の実習|校外実習の内容と準備で紹介しています。

職場によってやりがいの形は変わる

職場ごとに「誰を支えるか」が違う

同じ栄養士でも、病院・介護施設・保育園・学校・行政・企業では、向き合う相手と仕事の中身が変わります。やりがいの形も、それに合わせて変わります。

職場ごとのやりがいと、大変になりやすいところを表にしてみました。

職場主に支える人やりがいを感じやすいこと大変になりやすいこと
病院入院患者・外来の人チームで栄養管理を進め、食事の形を整える食事の種類が多く、時間の決まりもある
介護施設入所している高齢者長く関わり、食事の様子の変化に気づける多職種との調整や記録が多い
保育園子どもと保護者食育を通して子どもの変化を見られる一人ひとりの状態に合わせた対応がいる
学校・給食センター児童生徒給食を教材にして食の大切さを伝えられる大量調理の衛生管理と献立の調整
行政地域の住民健診や相談を通して地域の健康づくりに関わる事業の企画や調整など事務も多い
企業・社員食堂働く人毎日の食事で働く人の健康を支える委託先と施設側との調整がある

職場ごとの仕事内容は、栄養士の仕事内容|職場別にやることと1日の流れで詳しく紹介しています。

病院のやりがいと大変さ

病院の管理栄養士は、主にベッドサイドで行う業務が増えていると厚生労働省の資料で紹介されています。入院時に医師・看護師と共同で栄養状態を確認したり、栄養指導をしたりする仕事です。

一方で、病院の食事には時間のきまりもあります。例えば入院時食事療養の確認事項では、夕食を病棟で配る時間は午後6時以降とされています。

食事の時間に合わせて動く仕事なので、慣れるまでは忙しく感じることもあります。ただ、その分、患者さんの毎日の食事を支えている実感は大きいです。

介護施設のやりがいと大変さ

介護施設では、入所者全員に栄養ケア・マネジメントを行う考え方が示されています。管理栄養士が中心になって栄養ケア計画を作り、定期的に見直していく仕事です。

体重はリスクにかかわらず1か月ごとに測るなど、長く関わる中で変化を追っていきます。『最近、食べる量が増えてきたね』と多職種で話せた時は、うれしい瞬間ですよね。

保育園・学校のやりがいと大変さ

保育所保育指針では、栄養士が配置されている場合は専門性を生かして食育計画づくりに関わることが期待されています。給食を通して子どもに食の楽しさを伝えられるのは、この職場ならではの魅力です。

学校では、学校給食法で給食の目標が7つ定められています。望ましい食習慣や、伝統的な食文化の理解などです。献立そのものが教材になる、と考えると仕事の見え方も変わってきます。

行政・企業のやりがいと大変さ

行政で働く管理栄養士は、健診の結果をもとに地域の課題を考え、栄養指導や食育の事業を進めます。厚生労働省の指針では、住民が自分で食習慣の改善を選び、行動につなげられるように指導を進めることが書かれています。

一人の相談に向き合うだけでなく、地域全体の食の環境を整えていけるのが行政ならではのやりがいです。その分、企画や関係機関との調整など、机に向かう仕事も多くなります。

社員食堂は、1回100食以上か1日250食以上を継続して出していれば、健康増進法の特定給食施設にあたります。毎日同じ人たちが食べに来るので、献立への反応が見えやすい職場です。

『企業で働く栄養士って、どんなやりがいがあるの?』と思う方もいますよね。働く人の昼食を毎日支えることは、健康づくりの土台に関わる仕事なんです。

栄養士は大変?きついと言われる理由

「きつい」の中身は一つではない

栄養士がきついと言われる理由は、体力面・時間面・人間関係・仕事の範囲などに分かれます。どれに当てはまるかで、取れる対策も変わってきます。

『栄養士は大変って聞くけど、実際どうなの?』と気になりますよね。よく言われる理由を、背景とあわせて見ていきます。

よく聞く声背景にある仕組み
調理ばかりで栄養士らしい仕事ができない委託給食の現場では、調理の人手として入ることもある
朝が早い、夕方が遅い朝・昼・夕の食事を出す施設では、食事の時間に合わせた勤務になる
立ち仕事や重い物を運ぶことが多い大量調理の現場では、食材や食器の運搬がある
一人職場で相談できる人がいない施設によっては栄養士・管理栄養士が少人数の配置になる
献立や記録などの事務が多い帳簿の作成や栄養成分の表示などが基準で決まっている
給料の割に責任が重いと感じる食事の安全や栄養管理を任される立場にある

ここで大事なのは、「栄養士の仕事そのものがきつい」というより、「その職場の仕組みがきつく感じさせている」場合が多いことです。

例えば、特定給食施設の栄養管理の基準では、献立表の掲示や栄養成分の表示、帳簿の作成が決まっています。事務作業が多いのは、食事の安全と質を守るための仕事でもあるんです。

一人で抱え込まないで

「きつい」と感じた時に、自分の向き不向きのせいだけにしてしまうのはよくある失敗です。まずは仕組みの問題か、自分の得意・不得意の問題かを分けて考えてみてください。

栄養士がきついと感じる理由を体力・時間・人間関係・仕事の範囲の4つに分けた図解

委託と直営で「大変さ」の種類が違う

給食の運営には、施設が自分で運営する「直営」と、給食会社に任せる「委託」があります。厚生労働省の通知では、委託していても栄養管理の責任は施設側にあるとされています。

委託の場合、給食会社に雇われた栄養士が現場に配置されます。施設側の管理栄養士と、委託先の栄養士とで役割を分けて働くことが多くなります。

「委託だと調理の比重が大きい」と感じる人もいれば、「いろいろな施設を経験できる」と感じる人もいます。違いを詳しく知りたい方は、栄養士の委託と直営の違い|働き方・仕事内容を比べるを読んでみてください。

働く前に確かめておきたいこと

これから就職する人は、入ってから「思っていたのと違う」とならないよう、事前に確かめておきたい点があります。

求人票や見学で確かめたいこと
  • 給食は直営か委託か
  • 栄養士・管理栄養士は何人いるか
  • 献立作成・調理・栄養指導の割合はどれくらいか
  • 朝食・昼食・夕食のどれを出している施設か
  • 新人が相談できる先輩や上司がいるか

見学の時は、厨房や事務所の雰囲気もよく見ておきましょう。実際に働いている人の様子から、求人票だけでは分からないことが見えてきます。

「大変」を変えられるものと変えにくいものに分ける

ここがこの記事の視点

栄養士の大変さには、職場を選び直せば変わるものと、どの職場でもある程度ついてくるものがあります。この2つを分けて考えると、悩みへの向き合い方がはっきりします。

『きついけど、この仕事自体は好き』という方は、ぜひこの表を見てみてください。変えられる大変さなら、職場や働き方で解決できるかもしれません。

大変さ職場の仕組みで変えられる?見直すポイント
調理の割合が大きい変えられる直営か委託か、栄養士の担当業務を求人票で確かめる
勤務時間が早朝・夕方にかかるある程度変えられる食事を出す回数(朝・昼・夕)が職場で違う
一人職場で相談相手がいない変えられる栄養士・管理栄養士の人数を面接で聞く
事務や記録が多い変えにくい基準で決まった仕事なので、効率の良い進め方を学ぶ
食事の安全への責任変えにくいどの職場でも大事な仕事。チームで支え合う体制を見る
多職種との調整変えにくい病院や介護施設では特に多い。話すのが苦にならないかを考える

変えにくい大変さは、栄養士という仕事の中心にあるものです。ここが苦にならないなら、職場を変えることで働きやすさが大きく変わる可能性があります。

栄養士の大変さを職場で変えられるものと変えにくいものに分けた判定表の図解

職場を見直す前にやっておきたいこと

「もう辞めたい」と思った時ほど、焦って次を決めてしまいがちですよね。動く前に、次の手順で考えてみてください。

職場を見直す時の手順
  1. きついと感じる場面を3つ書き出す
  2. それぞれが「変えられる」か「変えにくい」かを上の表で分ける
  3. 変えられるものは、今の職場で相談できるかを考える
  4. 相談しても変わらない時は、次の職場で何を確かめるかを決める
  5. 求人票や面接で、その点を具体的に聞く

例えば面接では、こんなふうに聞いてみるのがおすすめです。

「栄養士の方は何人いらっしゃいますか?献立作成と調理の割合はどれくらいでしょうか」

「入職後に、どなたかに相談しながら仕事を覚えられる体制はありますか」

転職の進め方は、管理栄養士・栄養士の転職|経験を活かせる職場の選び方で詳しく紹介しています。

やりがいを広げる道もある

同じ職場でも、学び続けることでやりがいが広がることがあります。日本栄養士会には生涯教育の制度があり、認定管理栄養士・認定栄養士や、専門管理栄養士などの認定制度が用意されています。

例えば、在宅訪問管理栄養士や公認スポーツ栄養士のように、特定の分野で専門性を高める道もあります。詳しくは専門管理栄養士・認定管理栄養士とは?キャリアアップの資格で紹介しています。

栄養士ガイド

栄養士・管理栄養士の学校や講座を比べたい方へ

栄養士・管理栄養士をめざす道は、大学・短大・専門学校(養成施設)の選び方で大きく変わります。働きながら管理栄養士国家試験をめざす人には、試験対策の講座という選択肢もあります。気になる学校や講座の資料を取り寄せて、実習や国家試験の支え方、通いやすさを同じ物差しで見比べるのが近道です。比べ方のポイントをまとめました。

無料学校・講座の資料請求と比べ方を見る

栄養士の免許につながるのは、都道府県知事などが指定した養成施設です。指定の有無は学校の案内や公的機関の情報で確認できます。

栄養士のやりがいについてよくある相談

一般的な仕組みの範囲でお答えします

知恵袋などで多かった相談から3つを選び、職場の仕組みをもとに考え方をお伝えします。個別の職場の事情は分からないので、判断の材料として読んでみてください。

相談1 委託で調理ばかり。やりがいを感じられない

『委託給食の会社で働いて3年目。調理員のような仕事ばかりで、何のために働いているのか分からない』という相談です。

委託の現場では、調理の人手として入る時期があるのも事実です。ただ、委託会社の中でも、献立作成や施設側との調整を担う立場があります。

まずは今の会社で、献立や栄養管理の仕事に関われる道があるかを聞いてみてください。それでも難しい時は、直営の施設や、栄養指導が中心の職場を探す選択肢もあります。

「体調を崩しがち」という場合は、無理を続けないことが一番です。体を休めながら、次の一歩を考えていきましょう。

相談2 新卒で病院に入ったけど、1か月でやりがいが分からない

『新卒で病院栄養士になったけど、やりがいを全然感じない。1か月で辞めるのは早い?』という相談です。

最初の数か月は、仕事の流れを覚えるだけで精一杯ですよね。やりがいは、仕事を任されて人と関わる中で少しずつ感じるものなので、まだ見えなくて当然かもしれません。

一方で、心や体がつらい時は話が別です。信頼できる先輩や上司に「今こういうところで困っています」と伝えてみてください。

相談3 高齢者施設で暇。誰でもできる仕事ばかり

『管理栄養士として高齢者施設で4年働いている。暇で、誰でもできる仕事ばかりに感じる』という相談です。

介護施設では、栄養ケア・マネジメントとして、入所者全員の栄養スクリーニングやアセスメント、計画づくりが求められています。こうした仕事の比重を増やせないか、施設に相談してみる手もあります。

また、日本栄養士会の生涯教育や認定制度で学ぶのも一つの方法です。今の職場の経験を土台に、専門性を広げていけます。

やりがいを取り戻しやすい動き方
  • 何が物足りないのかを書き出す
  • 今の職場で関われる仕事を相談する
  • 研修や認定制度で学びを足す
気持ちが空回りしやすい動き方
  • 理由をはっきりさせないまま辞める
  • 一人で抱え込んで誰にも話さない
  • 次の職場で何を確かめるかを決めずに応募する
献立表と彩りのよい食事を前に、次の仕事を考える栄養士の手元のイメージ写真

よくある質問

栄養士のやりがいは何ですか?

食事を通して人の毎日を支えている実感です。献立や栄養相談を通して、利用者や子ども、患者さんの変化を感じられる場面にやりがいがあります。

管理栄養士のやりがいは栄養士と違いますか?

管理栄養士は、一人ひとりの状態に合わせた栄養指導や、医師・看護師とのチームでの栄養管理にも関わります。個別の対応にやりがいを感じる人が多い資格です。

栄養士の仕事はきついですか?

体力面や勤務時間、事務の多さなどで大変に感じることはあります。ただ、その多くは職場の仕組みで変わるので、直営か委託か、人数や担当業務を確かめて選ぶのがおすすめです。

やりがいを感じられない時はどうすればいいですか?

何が物足りないのかを書き出し、今の職場で関われる仕事を広げられないか相談してみてください。研修や認定制度で学びを足すことも、やりがいを広げる方法の一つです。

栄養士の仕事は大変でも続ける価値はありますか?

食事の安全と栄養を支える仕事は、多くの職場で求められています。変えにくい大変さが苦にならないなら、職場を選び直すことで働きやすくなる可能性があります。

まとめ

この記事の要点
  • 栄養士のやりがいは、食事を通して人の毎日を支える実感にある
  • 管理栄養士は、一人ひとりに合わせた栄養指導やチームでの栄養管理にも関わる
  • 職場によって、支える相手もやりがいの形も変わる
  • 「きつい」と言われる理由の多くは職場の仕組みにある
  • 大変さを、変えられるものと変えにくいものに分けて考える

やりがいも大変さも、職場によって大きく変わります。自分がどんな場面で手応えを感じたいかを考えながら、働く場所を選んでみてください。

栄養士ガイド

栄養士ガイド 編集部

栄養士・管理栄養士の仕事内容、資格の取り方、管理栄養士国家試験、病院・保育園・学校・介護施設・行政など職場ごとの働き方を、公的機関の公開情報をもとに整理している情報サイトです。 公式サイト

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