栄養士法とは?栄養士・管理栄養士の定義と配置のきまり

栄養士法の定義と配置のきまりを解説する記事のアイキャッチ

当サイトの記事は編集部が厚生労働省・文部科学省などの公的機関や日本栄養士会など公式団体の公開情報、読者の声を調べて独自に執筆しています。

『栄養士法って、授業や国家試験の勉強で名前は聞くけど、中身はよく分からない』という方も多いですよね。条文を読むと言葉が硬くて、何が大事なのかつかみにくいものです。

結論から言うと、栄養士法は「誰が栄養士・管理栄養士を名乗れるか」を決めている法律です。そして、どの施設に管理栄養士を置くかは、主に健康増進法が決めています。

この記事を読めば、2つの法律の役割の違いと、現場で押さえておきたいきまりが分かります。

目次

栄養士法とは?まずは全体をつかもう

先に結論

栄養士法は昭和22年にできた法律で、栄養士と管理栄養士の定義、免許の与え方、名称の使い方などを定めています。条文は e-Gov 法令検索で誰でも読めます。

栄養士法の中身は、ざっくり言うと次の4つです。

栄養士法で決めていること主な中身
定義栄養士とは何か、管理栄養士とは何か(第1条)
免許誰が、どんな人に免許を与えるか(第2条〜第5条)
国家試験管理栄養士国家試験の実施と受験資格(第5条の2・第5条の3)
名称の使い方資格のない人が名乗ってはいけないこと(第6条・第8条)

『法律だから、仕事のやり方まで細かく書いてあるのでは?』と思うかもしれません。実は、栄養士法は仕事の手順書ではなく、資格の枠組みを決める法律なんです。

条文を自分で確かめたい方は、栄養士法(e-Gov法令検索)で全文を読めます。

栄養士と管理栄養士は誰が免許を出すの?

ここが、栄養士法で最初に押さえておきたいところです。2つの資格は、免許を与える人が違います。

  • 栄養士は、都道府県知事の免許
  • 管理栄養士は、厚生労働大臣の免許

名簿も別々で、栄養士名簿は都道府県に、管理栄養士名簿は厚生労働省に置かれます(第3条の2)。名簿に登録されることで免許が与えられ、免許証が交付される仕組みです(第4条)。

免許の申請の流れは、栄養士免許の申請方法|免許証が届くまでと名簿登録で詳しく紹介しています。

栄養士法が決めている「栄養士」と「管理栄養士」の定義

定義の違いは「できる仕事の幅」

栄養士は「栄養の指導」に従事する人です。管理栄養士は、そこに療養のための栄養指導や、特別な配慮が必要な給食管理などが加わります。

栄養士法第1条は、栄養士を「都道府県知事の免許を受けて、栄養士の名称を用いて栄養の指導に従事することを業とする者」と定めています。

一方で管理栄養士は、厚生労働大臣の免許を受けて、管理栄養士の名称を用いて次のような業務を行う人とされています。

管理栄養士の業務として書かれていること(第1条2項)
  • 傷病者に対する療養のため必要な栄養の指導
  • 個人の身体の状況や栄養状態に応じた、高度な専門的知識と技術がいる健康の保持増進のための栄養の指導
  • 特定多数人に継続して食事を出す施設で、利用者の状況に応じた特別な配慮がいる給食管理
  • それらの施設に対する栄養改善上必要な指導

例えばこんな場面を思い浮かべてみてください。病院で入院している人の食事を、体の状態に合わせて考えて説明する。これは管理栄養士の業務として書かれている内容です。

詳しい違いは、管理栄養士とは?できること・栄養士との違いをやさしく解説でも比べています。

主治の医師の指導を受けるきまり

管理栄養士が療養のための栄養指導をするときは、主治の医師の指導を受けなければなりません(第5条の5)。

「管理栄養士なら一人で何でも決められるの?」と聞かれることもあります。療養のための栄養指導については、医師と連携して進めるのが法律上のきまりなんです。

名称独占とは?栄養士法が「名乗れる人」を決めている意味

ここが観点の分かれ目

栄養士法の大事なポイントは、仕事そのものを独占させるより、「名乗れる人」を決めていることです。この記事では、名称独占と配置のきまりの2つに分けて見ていきます。

栄養士法第6条は、栄養士でない人が栄養士やそれに似た名称を使って、栄養の指導を業として行うことを禁じています。管理栄養士も同じです。

違反すると30万円以下の罰金になることがあります(第8条)。これが「名称独占」と呼ばれる仕組みです。

種類意味栄養士・管理栄養士では
名称独占資格がない人はその名前を名乗れない栄養士法第6条で定められている
配置のきまり決まった施設に資格者を置く主に健康増進法で定められている

『名称独占ってことは、資格がなくても献立は作れるってこと?』と思った方もいますよね。名称独占の考え方では、名乗ることが制限されます。

ただ、施設によっては別の法律で「管理栄養士を置くこと」が決まっています。名乗れるかどうかと、置かなければならないかどうかは、別の話として考えるのがコツです。

栄養士法の名称独占と健康増進法の配置のきまりを2つに分けて比べた図解

免許が取り消されることもある

栄養士法には、免許を与えないことがある場合や、取り消しのきまりもあります。罰金以上の刑に処せられた人や、業務に関して犯罪や不正の行為があった人には、免許を与えないことがあります(第3条)。

また、免許の取り消しや、1年以内の名称の使用停止の処分もありえます(第5条)。資格は一度取れば終わりではなく、信頼の上に成り立っているんです。

健康増進法で決まる特定給食施設の管理栄養士の配置

配置を決めているのは健康増進法

特定給食施設に管理栄養士を置くかどうかは、健康増進法第21条と施行規則で決まっています。栄養士法だけを読んでも、配置のきまりは出てきません。

健康増進法では、特定かつ多数の人に継続して食事を出す施設のうち、栄養管理が必要なものを「特定給食施設」と呼びます。施行規則では、継続して1回100食以上か、1日250食以上を出す施設とされています。

施設の設置者は、事業を始めてから1か月以内に都道府県知事へ届け出ます。届出の中には「管理栄養士及び栄養士の員数」も入っています。

施設の条件管理栄養士・栄養士のきまり
医学的な管理が必要な人に食事を出し、1回300食以上か1日750食以上都道府県知事の指定で管理栄養士を置く
上記以外で特別な栄養管理が必要、1回500食以上か1日1,500食以上都道府県知事の指定で管理栄養士を置く
指定以外で1回300食以上か1日750食以上少なくとも1人は管理栄養士となるよう努める
その他の特定給食施設栄養士か管理栄養士を置くよう努める

健康増進法の管理栄養士のきまりは、「置かなければならない」と「置くよう努める」の2段階になっています。ここを混同しやすいので、表で見比べておきましょう。

特定給食施設で求められる栄養管理

施行規則第9条では、特定給食施設が守る栄養管理の基準も決めています。

特定給食施設の栄養管理の流れ
  1. 利用者の身体の状況や栄養状態を定期的に把握する
  2. それをもとに、摂取量や好みにも配慮して献立を作る
  3. 献立表を掲示し、熱量やたんぱく質などの栄養成分を表示する
  4. 帳簿を作って備え付ける
  5. 衛生管理は食品衛生法などに沿って行う

給食の現場の仕事は、給食の栄養士の仕事|献立作成と給食管理の基本でもっと具体的に紹介しています。

給食を委託していても、責任は施設側にある

『給食会社に任せているなら、栄養管理も会社の責任では?』と思う方もいるかもしれません。ここは誤解されやすいところです。

厚生労働省の通知では、給食業務を委託していても、栄養管理の責任は施設側にあるとされています。施設は委託先の業務の様子を定期的に確かめ、必要な指示を出すことが求められます。

例えば社員食堂で、調理を給食会社に任せている場合を考えてみてください。献立や調理は委託先の栄養士が担っていても、施設として栄養管理に責任を持つ形になります。

委託と直営の働き方の違いは、栄養士の委託と直営の違い|働き方・仕事内容を比べるで比べています。

栄養士法についてよくある相談

法令の範囲でお答えします

知恵袋などで多かった相談から3つを選び、栄養士法と健康増進法の条文をもとに考え方をお伝えします。

相談1 特定給食施設や保健所では、管理栄養士しか働けないの?

『栄養士の資格しかないけど、特定給食施設や保健所では働けないのかな』という相談です。

健康増進法では、指定された施設は管理栄養士を置くことが求められます。ただ、それ以外の特定給食施設は「栄養士又は管理栄養士を置くよう努める」とされていて、栄養士が働く場もあります。

保健所や市町村で働く栄養士については、採用の条件が自治体ごとに違います。応募したい自治体の募集要項で、栄養士免許で受けられるかを確認してみてください。

相談2 「設置者」って誰のこと?

『健康増進法の条文に出てくる設置者が、誰を指すのか分からない』という相談です。国家試験の勉強中に引っかかりやすいところですよね。

設置者は、その特定給食施設を設けて運営している側のことです。施設の届出をするのも、管理栄養士を置く義務を負うのも、この設置者です。

例えば病院なら、病院を開設している側が設置者にあたります。そこで働く栄養士個人ではない、と覚えておくと読みやすくなります。

「届出を出すのは栄養士?」「いいえ、施設を設けている側です」と、一問一答で確かめておくと試験でも迷いません。

相談3 栄養士がやってはいけないことはある?

『管理栄養士と違って、栄養士がやってはいけないことってあるの?』という相談です。

栄養士法で決まっているのは、主に名乗り方です。栄養士が管理栄養士やそれに似た名称を使って、管理栄養士の業務を行うことはできません。

一方で、職場によっては「管理栄養士がいること」が配置の条件になっています。資格によって任される仕事が変わるのは、法律と職場のルールの両方によるものなんです。

よくある勘違い

「名称独占だから、栄養士と管理栄養士で働ける場所は同じ」と考えるのは早合点です。配置のきまりや求人の条件で、管理栄養士が求められる職場もあります。

栄養士法と健康増進法をどう読み分ける?

迷ったら「名前」か「配置」かで考える

栄養士法は資格の名前と免許、健康増進法は施設に置く人数と栄養管理。この2つで読み分けると、条文の位置づけがすっきりします。

試験勉強や仕事で条文に出会ったとき、どちらの法律の話かを判断するための早見表を作ってみました。

知りたいこと見る法律主な条文
栄養士・管理栄養士の定義栄養士法第1条
免許を与える人・名簿栄養士法第2条・第3条の2・第4条
国家試験の受験資格栄養士法第5条の3
名乗ってよい人・罰則栄養士法第6条・第8条
特定給食施設の定義健康増進法と施行規則法第20条・規則第5条
管理栄養士を置く施設健康増進法と施行規則法第21条・規則第7条・第8条
給食の栄養管理の基準健康増進法施行規則規則第9条
栄養士法と健康増進法のどちらを見ればよいかを質問から選べる早見表の図解

『全部覚えなきゃいけないの?』と不安になる方もいますよね。まずは「名前と免許なら栄養士法、施設の配置なら健康増進法」とだけ覚えておけば十分です。

栄養士の仕事や資格全体については、栄養士とは?仕事内容・資格の取り方・管理栄養士との違いで一から紹介しています。

栄養士ガイド

栄養士・管理栄養士の学校や講座を比べたい方へ

栄養士・管理栄養士をめざす道は、大学・短大・専門学校(養成施設)の選び方で大きく変わります。働きながら管理栄養士国家試験をめざす人には、試験対策の講座という選択肢もあります。気になる学校や講座の資料を取り寄せて、実習や国家試験の支え方、通いやすさを同じ物差しで見比べるのが近道です。比べ方のポイントをまとめました。

無料学校・講座の資料請求と比べ方を見る

栄養士の免許につながるのは、都道府県知事などが指定した養成施設です。指定の有無は学校の案内や公的機関の情報で確認できます。

よくある質問

栄養士法はいつできた法律ですか?

昭和22年にできた法律です。法律番号は昭和22年法律第245号で、条文はe-Gov法令検索で読めます。

栄養士法で管理栄養士の配置は決まっていますか?

特定給食施設への管理栄養士の配置は、主に健康増進法と同施行規則で決まっています。栄養士法は定義や免許、名称などを決めています。

資格がない人が栄養士と名乗るとどうなりますか?

栄養士法第6条で禁じられていて、違反すると30万円以下の罰金になることがあります。

管理栄養士国家試験はどの法律で決まっていますか?

栄養士法です。厚生労働大臣が毎年少なくとも1回行うこと(第5条の2)と、受験資格(第5条の3)が定められています。

栄養士は食品衛生責任者になれますか?

食品衛生法施行規則で、食品衛生責任者になれる人として調理師などと並んで栄養士・管理栄養士が挙げられています。

まとめ

この記事の要点
  • 栄養士法は、栄養士と管理栄養士の定義・免許・名称を決める法律
  • 栄養士は都道府県知事、管理栄養士は厚生労働大臣の免許
  • 資格のない人は名乗れない「名称独占」の仕組み
  • 特定給食施設の管理栄養士の配置は、主に健康増進法で決まる
  • 「置かなければならない」と「置くよう努める」の2段階がある

法律の条文は、改正されることもあります。仕事や試験で使うときは、e-Gov法令検索で最新の条文を確認してみてください。

栄養士ガイド

栄養士ガイド 編集部

栄養士・管理栄養士の仕事内容、資格の取り方、管理栄養士国家試験、病院・保育園・学校・介護施設・行政など職場ごとの働き方を、公的機関の公開情報をもとに整理している情報サイトです。 公式サイト

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