当サイトの記事は編集部が厚生労働省・文部科学省などの公的機関や日本栄養士会など公式団体の公開情報、読者の声を調べて独自に執筆しています。
『栄養士って、この先なくなる仕事なのかな』と不安に思っている方も多いですよね。これから学校を選ぶ人にとっても、今働いている人にとっても、気になるテーマだと思います。
結論から言うと、栄養士の仕事がなくなると考える根拠は見当たりません。法律で配置が決まっている職場があり、公的な資料でも求人は多い状態が続いています。
この記事を読めば、「なくなる」と言われる理由と、これからも求められる場面が分かります。
栄養士の将来性はある?公的な資料から見てみよう
厚生労働省の資料では、栄養士の有効求人倍率は約4倍で推移しているとされています。求人に対して働き手が足りていない状態です。
令和8年7月の厚生労働省の専門委員会資料では、次のようなことが書かれています。
| 資料に書かれていること | 読み取れること |
|---|---|
| 栄養士の有効求人倍率は約4倍で推移 | 求人に比べて働く人が少ない |
| 養成施設の卒業者数と、栄養士関係の仕事への就職者数は平成28年から令和7年にかけて半減 | 新しく現場に入る人が減っている |
| 夜間部の設置を目指す案が出ている | 学び直しの道を広げる動きがある |
『求人倍率が高いなら安心ってこと?』と思いますよね。働き口が多いのは心強い一方で、現場の人手が足りていないことの裏返しでもあります。
夜間部の設置は2028年度を目指す「案」の段階で、決まったことではありません。最新の動きは厚生労働省の公表資料で確認してみてください。
管理栄養士の将来性はどう?
管理栄養士の名簿登録数は、令和7年12月末時点で累計298,243人です。ただし、これは累計の数で、今働いている人の数ではありません。
管理栄養士は、病院の入院基本料の要件や、特定給食施設の配置のきまりで名前が挙がっている資格です。仕事の中で求められる場面がはっきりしているのが強みなんです。
栄養士はなくなると言われる理由
「栄養士はなくなる」という声の多くは、仕事の一部が変わることへの不安です。資格そのものがいらなくなる話とは分けて考えてみてください。
よく言われる理由と、それに対する考え方を表にしてみました。
| よく言われる理由 | 考え方 |
|---|---|
| 献立作成や栄養計算は機械でできるようになる | 計算は道具で楽になっても、相手に合わせて判断し伝える仕事は残る |
| 給食の委託が広がっている | 委託でも栄養管理の責任は施設側にあり、委託先にも栄養士がいる |
| 栄養士より管理栄養士が求められる | 管理栄養士を目指す道は、栄養士として働きながらも開かれている |
| 給料が上がりにくいと聞く | 職場や役割で違う。専門性を広げる認定制度もある |
例えばこんな場面を考えてみてください。献立ソフトで栄養価の計算はすぐにできても、入所者が「最近食が細くなった」ことに気づき、多職種と相談するのは人の仕事です。
『機械にできることが増えたら、栄養士の出番はなくなるのでは?』という不安は自然です。ただ、仕事の中身が変わることと、仕事がなくなることは別の話なんです。
「栄養士の資格だけでは将来性がない」と決めつけてしまうのは早いです。法律で栄養士の配置が求められる場面もあり、働きながら管理栄養士を目指す道もあります。
法律で配置が決まっている職場と、これから広がる職場
栄養士の将来性は、「法律で配置が決まっている職場」と「制度の後押しで広がっている職場」に分けると見通しやすくなります。
まずは、法律や制度で栄養士・管理栄養士の配置が決まっている職場です。
| 職場 | 根拠になっているきまり |
|---|---|
| 特定給食施設(1回100食以上か1日250食以上など) | 健康増進法で、指定施設は管理栄養士を置く。それ以外も栄養士か管理栄養士を置くよう努める |
| 病院 | 入院基本料の要件として、常勤の管理栄養士1名以上の配置 |
| 特別養護老人ホーム | 栄養士又は管理栄養士を一以上置く(定員などによる例外あり) |
| 学校・給食センター | 学校給食栄養管理者として、栄養教諭か栄養士・管理栄養士の免許を持つ人 |
令和6年度末の特定給食施設は50,860施設あり、学校・児童福祉施設・病院が多くを占めています。食事を出し続ける施設がある限り、この仕事はなくなりにくいと言えます。
配置のきまりの詳しい中身は、栄養士法とは?栄養士・管理栄養士の定義と配置のきまりで紹介しています。
給食施設の数から見てみる
衛生行政報告例によると、令和6年度末の特定給食施設を種類別に見ると、上位は次のとおりです。
| 施設の種類 | 施設数 | 割合 |
|---|---|---|
| 学校 | 15,310 | 30.1% |
| 児童福祉施設 | 14,436 | 28.4% |
| 病院 | 5,458 | 10.7% |
『子どもが減ったら、学校や保育園の仕事も減るのでは?』と気になる方もいますよね。施設の数はこの先変わる可能性がありますが、子どもの食事を支える仕事そのものがなくなるわけではありません。

制度の後押しで広がっている職場
次に、制度の整備とともに活躍の場が広がっている職場です。
- 特定保健指導:初回面接や支援計画の作成を、医師・保健師・管理栄養士が担う
- 在宅訪問:通院が難しい人の自宅で栄養食事指導を行う
- 病棟の栄養管理:管理栄養士がベッドサイドで行う業務が増えている
- 薬局:健康サポート薬局の取り組み例に、管理栄養士と連携した栄養相談会がある
- 学校:公立の小中学校などの栄養教諭は、平成17年度の34人から令和7年度の7,019人に増えた
在宅訪問管理栄養士の認定者は、2025年4月1日現在で1,667人です。訪問栄養の仕事については、在宅訪問管理栄養士とは?訪問栄養の仕事となるにはで詳しく紹介しています。
将来性を高めるためにできること
将来に不安がある時は、資格を取ったあとに何を積み上げるかを考えてみてください。選べる道はいくつもあります。
栄養士・管理栄養士として長く働くために、できることを順番に並べてみました。
- まずは今の職場で、献立・給食管理・栄養指導の基本を身につける
- 栄養士なら、実務経験を積んで管理栄養士国家試験を目指す
- 日本栄養士会の生涯教育で、研修を受けて学びを続ける
- 認定管理栄養士や専門管理栄養士など、分野の専門性を深める
- 在宅訪問やスポーツなど、広がっている現場に挑戦する
栄養士が働いている場所は広がっている
日本栄養士会が公表した会員の就業先(2025年3月末現在)を見ると、働く場所が病院だけではないことが分かります。
| 会員の主な就業先 | 割合 |
|---|---|
| 病院やクリニックなどの医療施設 | 42% |
| 介護保険施設・障がい福祉施設・児童福祉施設 | 20% |
| 企業・事業所・薬局・フリーランス・起業 | 17% |
| 都道府県庁・市町村・保健所 | 9% |
| 小中学校・学校給食センター | 7% |
| 養成施設・研究機関 | 5% |
これは会員だけの数字で、すべての栄養士・管理栄養士の就業先ではありません。それでも、企業や薬局、フリーランスなど、いろいろな形で働く人がいることが分かります。
専門性を深める道もある
「この分野なら任せて」と言える強みがあると、働き方の選択肢が広がりますよね。
日本栄養士会の認定制度には、認定管理栄養士・認定栄養士、特定分野別の認定、専門管理栄養士の3つがあります。詳しくは専門管理栄養士・認定管理栄養士とは?キャリアアップの資格を読んでみてください。
栄養士から管理栄養士を目指す流れは、管理栄養士になるには?4つのルートと国家試験までの流れでまとめています。
これから学校を選ぶ人が確かめたいこと
高校生や社会人で、これから養成施設を選ぶ方は、将来の働き方まで見すえて学校を比べてみてください。
- 栄養士養成施設か、管理栄養士養成施設か
- 卒業生がどんな職場で働いているか
- 校外実習でどんな施設に行くか
- 国家試験に向けた学習の支え方
管理栄養士養成施設を卒業すれば、実務経験なしで国家試験を受けられます。栄養士養成施設なら、卒業後に働きながら実務経験を積んで受験する流れです。
栄養士ガイド
栄養士・管理栄養士の学校や講座を比べたい方へ
栄養士・管理栄養士をめざす道は、大学・短大・専門学校(養成施設)の選び方で大きく変わります。働きながら管理栄養士国家試験をめざす人には、試験対策の講座という選択肢もあります。気になる学校や講座の資料を取り寄せて、実習や国家試験の支え方、通いやすさを同じ物差しで見比べるのが近道です。比べ方のポイントをまとめました。
無料学校・講座の資料請求と比べ方を見る栄養士の免許につながるのは、都道府県知事などが指定した養成施設です。指定の有無は学校の案内や公的機関の情報で確認できます。
栄養士の将来性についてよくある相談
知恵袋などで多かった相談から3つを選び、考え方をお伝えします。
相談1 栄養士の資格だけだと、将来性はなくなる?
『管理栄養士ではなく、栄養士の資格だけ。この先、仕事がなくなっていくのかな』という相談です。
健康増進法では、指定施設以外の特定給食施設は「栄養士又は管理栄養士を置くよう努める」とされています。特別養護老人ホームでも、栄養士又は管理栄養士を置くことになっています。
栄養士の資格で働ける場面は今もあります。そのうえで、実務経験を積めば管理栄養士国家試験を受けられるので、将来の選択肢を広げることもできます。
相談2 仕事を辞めてまで学校に通う価値はある?
『29歳で栄養士に興味がある。でも学校に通わないといけないので、仕事を辞めてまで取る価値があるのか迷う』という相談です。
栄養士の資格は、厚生労働大臣が指定した養成施設を卒業しないと取れません。今は昼間の学校のみで、通信教育や夜間部は指定されていません。
学校に通う期間と費用、卒業後にどんな職場で働きたいかを並べて考えてみてください。学校の資料を取り寄せて、社会人の入学者の受け入れや卒業後の進路を確かめるのもおすすめです。
相談3 栄養士の短大とビジネス系の短大、どちらがいい?
『高校2年生。栄養士になれる短大と、ビジネスが学べる短大で迷っている』という相談です。
栄養士になりたい気持ちが少しでもあるなら、養成施設で学ぶことでしか資格は取れない、という点は大事な判断材料です。どの養成施設を卒業しても、栄養士の資格は同じです。
一方で、ビジネスの勉強は、卒業後にいろいろな形で学ぶこともできます。迷った時は、両方のオープンキャンパスに行き、自分がどちらの授業にわくわくするかを比べてみてください。
- 求人の状況など公的な資料を見る
- 働きたい職場を具体的に思い浮かべる
- 資格を取ったあとの学び方も考える
- 「なくなる」という声だけで判断する
- 資格を取れば一生安泰と考える
- 職場の違いを考えずに決める

よくある質問
栄養士の将来性はありますか?
厚生労働省の資料では、栄養士の有効求人倍率は約4倍で推移しているとされています。法律で配置が決まっている職場もあり、求められる場面は続いています。
栄養士はなくなる仕事ですか?
なくなると考える根拠は見当たりません。計算などは道具で楽になっても、相手に合わせて判断し伝える仕事や、法律で求められる配置は残ります。
管理栄養士の将来性はどうですか?
管理栄養士は、病院の入院基本料の要件や特定給食施設の配置のきまり、特定保健指導などで名前が挙がっている資格です。在宅訪問など活躍の場も広がっています。
栄養士の求人は減っていますか?
厚生労働省の令和8年7月の資料では、栄養士の有効求人倍率は約4倍で推移しているとされています。一方で、養成施設を出て栄養士関係の仕事に就く人は減っていると書かれています。
将来性を高めるにはどうすればいいですか?
基本の仕事を身につけたうえで、管理栄養士国家試験や日本栄養士会の生涯教育、認定制度などで専門性を深めていく方法があります。
まとめ
- 栄養士の有効求人倍率は約4倍で推移している(厚生労働省資料)
- 「なくなる」という声の多くは、仕事の一部が変わることへの不安
- 特定給食施設・病院・特養・学校などは、法律や制度で配置が決まっている
- 特定保健指導・在宅訪問・病棟など、活躍の場が広がっている分野もある
- 資格に経験と専門性を重ねることで、将来の選択肢が広がる
将来性は、資格だけでなく、そのあと何を積み上げるかでも変わります。栄養士という仕事の全体像は、栄養士とは?仕事内容・資格の取り方・管理栄養士との違いで確かめてみてください。





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