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『食育を任されたけど、何から考えればいいんだろう』と悩んでいる栄養士の方も多いですよね。これから保育園や学校で働きたい学生さんにとっても、食育はイメージしにくい仕事かもしれません。
結論から言うと、栄養士の食育は「年齢に合ったテーマを選ぶ」「毎日の給食とつなげる」「振り返って次に生かす」の3つを押さえると進めやすくなります。
この記事では、保育園と学校それぞれの食育の考え方と、年齢ごとの伝え方を表で見ていきます。
栄養士の食育とは?保育園と学校で目指すもの
保育園の食育は「食を営む力」の基礎を培うこと、学校の食育は学校給食法に書かれた目標を、給食を生きた教材にして進めることが軸になります。栄養士は、献立と食材の知識でその両方を支えます。
栄養士食育の仕事は、イベントを開くことだと思われがちです。でも実は、毎日の給食そのものが一番身近な食育の場なんです。
保育所保育指針では、保育所の食育は「食を営む力」の育成に向けて、その基礎を培うことを目標にしています。学校では、学校給食法が学校給食の目標として7つの項目を挙げています。
| 場所 | 食育のよりどころ | 栄養士が関わる場面 |
|---|---|---|
| 保育園 | 保育所保育指針(食を営む力の基礎を培う) | 食育計画づくり、給食、保護者への発信 |
| 小中学校 | 学校給食法(学校給食の目標7項目) | 献立、給食の時間の指導、授業との連携 |
| 地域 | 行政栄養士の基本指針(食育推進のネットワーク) | 健康教室、ボランティア組織の育成 |
学校給食法に書かれている7つの目標は、次のとおりです。
- 適切な栄養をとって健康を保つこと
- 望ましい食習慣を身につけること
- 社交性や協同の精神を育てること
- 生命や自然を大切にし、環境を守る態度を育てること
- 勤労を重んじる態度を育てること
- 伝統的な食文化を理解すること
- 食料の生産・流通・消費について理解すること
栄養のことだけでなく、マナーや文化、食べ物がどこから来るかまで含まれていますよね。食育のテーマは、思っているより幅が広いんです。
保育園と学校で、栄養士の立場はどう違う?
保育園では、施設長の責任の下で保育士・調理員・栄養士・看護師などが協力して食育を進めることが求められています。栄養士が配置されている場合は、専門性を生かした対応を図ることも指針に書かれています。
学校では、栄養教諭が学校給食を活用した食に関する指導を行います。栄養教諭以外の学校給食栄養管理者、いわゆる学校栄養職員も、栄養教諭に準じて指導を行うよう努めることとされています。
保育園の栄養士の仕事は保育園の栄養士・管理栄養士の仕事、学校の栄養士の仕事は小学校の栄養士(学校栄養職員)の仕事と働き方で、それぞれくわしく紹介しています。
年齢に合わせた食育のテーマと伝え方
同じ「野菜を食べよう」でも、3歳と小学6年生では伝え方がまったく違います。年齢に合わせてテーマと伝え方を選ぶと、食育がぐっと届きやすくなります。
この記事独自の目安として、年齢ごとのテーマと伝え方の対応表をつくってみました。
| 年齢の目安 | テーマの例 | 伝え方の例 |
|---|---|---|
| 0〜2歳 | 食べることを楽しむ | 「おいしいね」と声をかける、食材にさわってみる |
| 3〜5歳 | 食べ物に興味を持つ | 野菜を育てる、絵本や紙芝居、皮むきの体験 |
| 小学校低学年 | 好き嫌いなく食べる、マナー | 給食の食材クイズ、3つの色の食べ物の話 |
| 小学校高学年 | 栄養と体のつながり | 献立を使って、なぜこの組み合わせかを考える |
| 中学生 | 自分で食事を選ぶ力 | 朝ごはんや間食を自分で組み立ててみる |

この表は、あくまで流れをつかむための目安です。実際には、子どもたちの様子や、園・学校の計画に合わせて選んでいきます。
幼児には「体験」、小学生には「なぜ」を
幼児期は、言葉で説明するより、見る・さわる・においをかぐといった体験のほうが伝わります。「このピーマン、どんなにおい?」と聞くだけでも、立派な食育の入口になりますよ。
小学生になると、「なぜこれを食べるといいの?」という理由に興味が出てきます。給食の献立を見ながら「今日は魚と野菜が入っているね。どんな働きがあると思う?」と問いかけてみてください。
学年が上がるほど、自分で選ぶ力が大事になります。中学生には正解を教えるより、自分の食事を見直すきっかけを渡すつもりで話すと、受け止めてもらいやすいです。
食育指導の進め方|計画から振り返りまで
食育指導は、1回の授業やイベントで終わらせず、計画・実践・振り返りの流れで進めます。保育園も学校も、全体の計画に沿って年間の流れをつくるのが基本です。
保育所保育指針では、食事の提供を含む食育計画を、全体的な計画に基づいて作り、評価と改善に努めることが求められています。学校でも、栄養教諭が食に関する指導の全体的な計画の策定に中心的に関わります。
- 子どもの様子や食べ残しの記録から、気になることを書き出す
- 年間のテーマを決め、季節の行事や献立と結びつける
- 保育士さんや担任の先生と、役割と時間を相談する
- 活動を実践し、子どもの反応や食べた量を記録する
- 振り返りをして、次の月や次の年に生かす
学校給食法では、栄養教諭は給食で食べる食品と健康のつながりを指導したり、食に関して特別な配慮が必要な子どもに個別の指導をしたりすることとされています。地域の産物を使うなど、地域に合わせた工夫に努めることも書かれています。
地元でとれた野菜を給食に使い、「この野菜は、学校の近くの畑から来たんだよ」と伝えるのも、立派な食育です。
季節と行事でつくる年間の流れの例
『年間の計画と言われても、何を並べればいいか分からない』という方も多いはずです。そんな時は、季節の食材と行事を軸にすると組み立てやすくなります。
| 時期 | テーマの例 | 給食とのつなげ方 |
|---|---|---|
| 春 | 新しい環境での食事のマナー | あいさつや配膳の仕方を、給食の時間に確かめる |
| 初夏 | 野菜を育てる | 植えた野菜と同じ食材を給食に使う |
| 夏 | 水分のとり方、夏の野菜 | 旬の野菜の献立で、色や形を紹介する |
| 秋 | 収穫と地域の食べ物 | 地域でとれた食材を使い、どこから来たかを伝える |
| 冬 | 行事食と伝統的な食文化 | 季節の行事食の由来を、献立表やおたよりで伝える |
この表のように、毎月の献立とテーマを一緒に決めておくと、食育が特別なイベントではなく、毎日の給食の延長になります。前の年の記録を残しておけば、次の年の計画づくりもぐっと楽になりますよ。
地域でも栄養士の食育は広がっている
食育の場は、保育園や学校だけではありません。厚生労働省の行政栄養士の基本指針では、市町村が取り組む内容として、食生活改善推進員などのボランティア組織の育成を含めた食育推進のネットワークづくりが挙げられています。
地域の健康教室や親子の料理教室なども、栄養士が食育に関わる場面の一つです。
食育の計画を立てる時のチェックリスト
- 園や学校の全体の計画と、テーマがつながっているか
- その月の献立や行事と結びついているか
- 子どもの年齢に合った伝え方になっているか
- 調理や体験の活動で、衛生と安全の手順を決めてあるか
- 終わったあとに何を記録して振り返るか決めてあるか
学校での食育の中心になる栄養教諭については、栄養教諭とは?なるには・学校栄養職員との違いでくわしく解説しています。
栄養士ガイド
栄養士・管理栄養士の学校や講座を比べたい方へ
栄養士・管理栄養士をめざす道は、大学・短大・専門学校(養成施設)の選び方で大きく変わります。働きながら管理栄養士国家試験をめざす人には、試験対策の講座という選択肢もあります。気になる学校や講座の資料を取り寄せて、実習や国家試験の支え方、通いやすさを同じ物差しで見比べるのが近道です。比べ方のポイントをまとめました。
無料学校・講座の資料請求と比べ方を見る栄養士の免許につながるのは、都道府県知事などが指定した養成施設です。指定の有無は学校の案内や公的機関の情報で確認できます。
伝わる食育にするための話し方のコツ
食育でよくあるつまずきは、正しいことを伝えようとして、子どもの気持ちから離れてしまうことです。「食べなさい」より「食べてみたくなる」話し方を意識してみてください。
『栄養の大切さをしっかり伝えたいのに、子どもが聞いてくれない』と感じたことはありませんか。実は、内容よりも伝え方で反応が変わることが多いんです。
| 伝わりにくい言い方 | 伝わりやすい言い方 |
|---|---|
| 「残さず食べなさい」 | 「ひと口だけ、どんな味か教えてくれる?」 |
| 「野菜は体にいいから食べて」 | 「この野菜を食べると、どんな体になると思う?」 |
| 「好き嫌いはだめ」 | 「この前より食べられたね」 |
| 「お菓子ばかりはよくない」 | 「おやつは何と一緒に食べるといいかな」 |

苦手な食べ物を食べられない子を、みんなの前で注意してしまうケースです。食事の時間がつらいものになると、かえって食べることから気持ちが離れてしまいます。
給食の時間に使える声かけの例
給食の時間は、短い声かけで食育ができる時間でもあります。例えばこんなやりとりです。
「今日のスープ、何が入っているか分かる?」
「にんじんと、たまねぎ!」
「正解。どっちも、さっきみんなで皮をむいた野菜なんだよ」
体験と給食がつながると、子どもたちの食べる様子が変わってきます。食育の活動をした日は、その食材を給食に入れてみるのがおすすめです。
保護者に向けた食育も、伝え方は同じです。おたよりで「家でもこうしてください」と書くより、「園ではこんな工夫をしたら食べてくれました」と紹介するほうが、受け取ってもらいやすくなります。
食育についてよくある相談
知恵袋などで多かった食育の相談から3つを選び、考え方をまとめました。
相談1 苦手なものは「ひと口は食べよう」と指導するべき?
『給食の食育指導で、苦手なものはひと口だけでも食べさせるか、残してもいいことにするか迷う』という相談です。
結論から言うと、どれか一つが正解と決まっているわけではありません。大事なのは、園や学校で方針をそろえて、子どもによって対応がばらばらにならないようにすることです。
無理に食べさせるより、「においをかいでみる」「小さく切ってみる」など、少しずつ近づける工夫が取り入れやすいです。アレルギーなどで食べられない食材がある子には、園や学校の決まりに沿った対応が優先されます。
相談2 食育の資格を取れば、栄養士と同じ仕事ができる?
『名前に食育が付く資格がいくつもあって、どれを取ればいいか分からない。栄養士とは何が違う?』という相談です。
栄養士は栄養士法に基づいて都道府県知事が与える免許で、管理栄養士は厚生労働大臣の免許です。どちらも名称独占の資格で、学校給食栄養管理者の要件にも栄養士・管理栄養士の免許が挙がっています。
名前に食育が付く資格を考える時は、どの団体が出している資格か、何に使える資格かを確かめてから比べてみてください。給食や栄養指導の仕事に就きたいなら、まずは栄養士・管理栄養士の免許が基本になります。
相談3 保育園では、職員全員が子どもと給食を食べないといけない?
『保育園では食育として園児と一緒に給食を食べる決まりがあると聞いた。現場の先生全員がそうなの?』という相談です。
保育所保育指針の解説では、施設長の責任の下で、職員が協力して食育を進めることが求められています。ただ、誰がどの時間に子どもと一緒に食べるかは、園ごとの体制で決まります。
気になる方は、働く前に園の食事の時間の過ごし方を聞いてみてください。
よくある質問
食育は栄養士しか担当できないのですか?
そんなことはありません。保育園では保育士・調理員・栄養士・看護師などが協力して進め、学校では栄養教諭や担任の先生などが連携して進めます。栄養士は献立と食材の知識で関わります。
栄養士が食育で一番大事にしたいことは何ですか?
毎日の給食と食育をつなげることです。献立を作る栄養士だからこそ、行事や季節の食材と結びつけた活動を考えられます。
食育指導の計画は、どのくらいの期間で立てますか?
年間の計画を立て、月ごとの活動に落とし込む形が多いです。保育園では全体的な計画に基づいて食育計画を作ることが求められています。
保護者に向けた食育では、どんなことをしますか?
献立表やおたよりでの発信、試食会、食事についての相談などがあります。保育所保育指針の解説でも、栄養士がいる環境を生かして、保護者に食の相談や体験の機会を設けることが望まれるとされています。
小学校の食育では、誰が授業をしますか?
栄養教諭が学校給食を活用した指導を行い、担任の先生と連携して進めます。栄養教諭以外の学校給食栄養管理者も、栄養教諭に準じて指導を行うよう努めることとされています。
まとめ
- 保育園の食育は「食を営む力」の基礎を培うことが目標
- 学校の食育は、学校給食法の7つの目標と、給食を生きた教材にすることが軸
- 年齢に合わせてテーマと伝え方を変えると、食育が届きやすくなる
- 食育指導は計画・実践・振り返りの流れで進める
- 「食べなさい」より「食べてみたくなる」話し方を意識する
食育は、子どもの「食べてみよう」を引き出す仕事です。まずは今月の献立から、話のきっかけになる食材を一つ選んでみてください。





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