当サイトの記事は編集部が厚生労働省・文部科学省などの公的機関や日本栄養士会など公式団体の公開情報、読者の声を調べて独自に執筆しています。
『食べる機能の支援に関わる仕事をもっと深めたい』と考えている管理栄養士の方もいますよね。そんな時に目標になるのが、摂食嚥下リハビリテーション栄養専門管理栄養士です。
結論から言うと、この資格は、日本栄養士会と日本摂食嚥下リハビリテーション学会が共同で認定する専門管理栄養士です。管理栄養士になって5年以上、食べる機能に関わる栄養管理に3年以上携わった人が目指す、経験を積んだ先の資格です。
この記事を読めば、認定の要件と、ほかの職種とどう分担して働くのかが分かります。
摂食嚥下リハビリテーション栄養専門管理栄養士とは?
摂食嚥下リハビリテーション栄養専門管理栄養士は、日本栄養士会の専門分野別認定(専門管理栄養士)の一つです。日本摂食嚥下リハビリテーション学会との共同認定で、食べる機能に関わる栄養管理の専門性を認めるものです。
日本栄養士会の専門管理栄養士は、より卓越した技術と知識を身につけ、より複雑で解決が難しい栄養の問題に対応できる管理栄養士を認定する制度です。2013年度から、厚生労働省の委託を受けた人材育成事業として行われています。
その中で、食べる機能に関わる栄養管理を担う分野が、摂食嚥下リハビリテーション栄養です。名前が長いので、「摂食嚥下管理栄養士」と短くして調べる方もいますよね。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 制度 | 日本栄養士会の専門分野別認定(専門管理栄養士) |
| 共同認定 | 日本栄養士会と日本摂食嚥下リハビリテーション学会 |
| 前提の資格 | 日本摂食嚥下リハビリテーション学会認定士 |
| 経験の目安 | 管理栄養士取得後5年以上、食べる機能に関わる栄養管理に通算3年以上 |

専門管理栄養士のほかの分野や、認定制度の全体像は、専門管理栄養士・認定管理栄養士とは?キャリアアップの資格でまとめています。
どんな場面で役に立つ資格?
食べる機能の支援は、病院でも介護施設でも、在宅でも必要になる仕事です。食事の形を整えたり、食べやすさを工夫したりと、管理栄養士の知識が活きる場面が多いんです。
例えば、病院の入院中の食事では、飲み込みやすさに配慮した嚥下調整食を出すことがあります。介護施設では、入所者ごとの栄養ケア計画に「食事の形態」が含まれています。
目指す良さと、知っておきたい限界
この資格には、目指す良さと、知っておきたい限界の両方があります。
- 食べる機能に関わる栄養管理の経験を、形にして示せる
- 多職種の中で、管理栄養士としての役割を説明しやすくなる
- 学会や研修で、同じ分野の仲間とつながれる
- 前提の資格や経験年数があり、取るまでに年単位の時間がかかる
- 両方の会の会員を続けるなど、取ったあとも準備が続く
- 取ったからといって、仕事の内容や待遇が変わるとは限らない
『時間がかかるなら、自分には無理かも』と感じた方もいるかもしれませんね。経験年数は働いていれば積み上がるものなので、まずは記録を残すところから始めれば十分です。
認定の要件は?更新の条件も確かめる
管理栄養士の免許に加えて、両方の会の会員であること、学会の認定士の資格、5年以上の実務経験、研修、5症例、発表の実績が求められます。
日本栄養士会の公式ページに書かれている要件を、表にまとめてみました。
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| 免許 | 管理栄養士 |
| 会員 | 日本栄養士会と日本摂食嚥下リハビリテーション学会の両方の会員 |
| 前提の資格 | 日本摂食嚥下リハビリテーション学会認定士 |
| 実務経験 | 管理栄養士取得後5年以上、かつ摂食嚥下機能に関わる栄養管理に通算3年以上 |
| 研修 | 両会が指定する研修の履修 |
| 症例 | 摂食嚥下機能に関する実績5症例と、実務経験歴の提出 |
| 発表 | 過去3年間に1篇以上の筆頭発表または筆頭論文 |
要件は見直されることがあります。最新は日本栄養士会の摂食嚥下リハビリテーション栄養専門管理栄養士のページで確認してみてください。
『5症例って、どうやって集めればいいの?』と心配になりますよね。ふだんの仕事の記録を、あとで症例としてまとめられる形で残しておくことが、いちばんの準備になります。
目指すまでの順番
要件を順番に並べると、次のような流れになります。
- 管理栄養士として、食べる機能に関わる栄養管理の経験を積む
- 日本栄養士会と日本摂食嚥下リハビリテーション学会の会員になる
- 日本摂食嚥下リハビリテーション学会認定士の資格を取る
- 両会が指定する研修を受け、5症例と発表の実績をそろえる
- 管理栄養士取得後5年以上、分野で3年以上になったら申し込む
学会の認定士の取り方は、学会の公式の案内で確かめてください。
更新の条件
認定を取ったあとも、更新の条件があります。公式ページでは、過去5年間に該当する分野の栄養管理に3年以上携わり、学会の認定士の資格を保っていることが条件とされています。
認定を取ったあとに、前提である学会の認定士の資格の更新を忘れてしまうことです。専門管理栄養士の更新にも関わるので、両方の期限をまとめて管理しておきましょう。
食べる機能の支援に関わる職種と、管理栄養士の役割分担
食べる機能の支援は、管理栄養士だけでは完結しません。公的な資料に出てくる職種ごとの関わり方を分担表にすると、管理栄養士が担うところがはっきり見えてきます。
ここが、この記事でいちばん伝えたいところです。食べる機能の支援には、たくさんの職種が関わりますよね。
そこで、厚生労働省の資料に出てくる関わり方をもとに、職種ごとの分担表を作ってみました。
| 職種 | 公的な資料に出てくる関わり方 | 管理栄養士とのつながり |
|---|---|---|
| 医師 | 病院で嚥下調整食を出す時の検食、介護施設の栄養ケア計画の実施での同意の確認 | 計画や食事の方針を確かめる |
| 管理栄養士 | 栄養ケア計画の作成、試食会やカンファレンスへの参加、検食 | 食事の形態や栄養補給の計画をまとめる |
| 栄養士 | 病院で嚥下調整食を出す時の検食 | 日々の食事の確認を一緒に行う |
| 言語聴覚士 | 試食会やカンファレンスへの参加、栄養ケア計画への助言 | 食べる様子についての助言をもらう |
| 調理師 | 試食会やカンファレンスへの参加 | 食事の形を実際に作る |
| 理学療法士・作業療法士・歯科衛生士 | 栄養ケア計画への助言 | それぞれの専門からの助言を計画に活かす |
| 介護支援専門員 | 栄養スクリーニングで管理栄養士と連携 | 計画の変更を提案する先になる |

表を見ると、管理栄養士は「いろいろな職種の意見を、食事と栄養の計画にまとめる人」だと分かります。だからこそ、専門の資格で深い知識が求められるんです。
分担表を使う時のコツ
分担表は、職場によって少しずつ違います。自分の職場の実際に合わせて書きかえてみてください。
- 食事の形を決める時に、誰の意見を聞いているか
- 試食会やカンファレンスを、どのくらいの間隔で開いているか
- 言語聴覚士や歯科衛生士がいない時に、誰に相談しているか
- 給食を委託している場合、委託先の管理栄養士とどう連携しているか
確かめた内容をもとに、カンファレンスで自分から声をかけてみるのもおすすめです。
「食事の形を見直したいので、食べている様子について意見をもらえますか?」
「最近の様子だと、こんな点が気になっています」
管理栄養士が問いかけ役になると、ほかの職種の意見が集まりやすくなります。集まった意見を計画にまとめるところまでが、管理栄養士の大事な役割です。
病院や介護施設では、どんな仕事をする?
病院では嚥下調整食の提供と検食・試食会、介護施設では栄養ケア計画の作成と見直しが、食べる機能の支援に関わる主な仕事です。
病院での仕事
厚生労働省の入院時食事療養の確認事項では、嚥下調整食を出す場合のことが書かれています。医師・管理栄養士または栄養士による検食を毎日1食は行い、管理栄養士・言語聴覚士・調理師などによる試食会やカンファレンスを定期的に開くことなどです。
例えば、試食会ではこんなやりとりがあります。
「この形だと、もう少しまとまりやすいほうが食べやすいかもしれません」
「では、次の献立から作り方を調整してみますね」
病院での栄養管理の全体像は、病態栄養専門管理栄養士とは?認定の条件と目指し方もあわせて読んでみてください。
介護施設での仕事
介護施設の栄養ケア・マネジメントでは、管理栄養士が栄養ケア計画を作ります。計画には、栄養補給の方法や補給量、食事の形態などが含まれます。
経管から口から食べる方法への移行が必要な人などは、おおむね2週間ごとにモニタリングを行うとされています。食べる機能の支援は、こうした計画の見直しの中で続いていく仕事なんです。
介護施設での仕事は介護施設・老人ホームの管理栄養士|特養・老健での仕事内容、計画の流れは栄養ケア・マネジメントとは?介護の現場での流れで詳しく紹介しています。
在宅での食べる機能の支援
食べる機能の支援は、病院や施設だけでなく在宅でも必要になります。厚生労働省の資料では、通院が難しい在宅療養中の人に、管理栄養士が医師の指示に基づいて栄養食事指導を行う形も示されています。
在宅で働く管理栄養士の資格には、日本栄養士会と日本在宅栄養管理学会が共同で認定する在宅訪問管理栄養士があります。在宅の仕事については、在宅訪問管理栄養士とは?訪問栄養の仕事となるにはで紹介しています。
栄養士ガイド
栄養士・管理栄養士の学校や講座を比べたい方へ
栄養士・管理栄養士をめざす道は、大学・短大・専門学校(養成施設)の選び方で大きく変わります。働きながら管理栄養士国家試験をめざす人には、試験対策の講座という選択肢もあります。気になる学校や講座の資料を取り寄せて、実習や国家試験の支え方、通いやすさを同じ物差しで見比べるのが近道です。比べ方のポイントをまとめました。
無料学校・講座の資料請求と比べ方を見る栄養士の免許につながるのは、都道府県知事などが指定した養成施設です。指定の有無は学校の案内や公的機関の情報で確認できます。
この資格についてよくある相談
食べる機能の支援に関わる資格の相談では、ほかに持っておきたい資格、介護施設での仕事の中身、目指すまでの順番がよく出てきます。
相談1 病院の管理栄養士は、ほかの資格も持っている?
『病院の管理栄養士は、管理栄養士以外の資格を持っているの?』という相談です。管理栄養士の免許があれば病院で働けますが、専門性を高めるために認定を目指す人もいます。
この資格は、前提として日本摂食嚥下リハビリテーション学会の認定士の資格が必要です。目指すなら、まず学会の認定士から考えるのが順番ですね。
相談2 介護施設の管理栄養士は、栄養の相談もする?
『介護保険施設の管理栄養士は、栄養指導をするの?』という相談もあります。厚生労働省の資料では、介護施設の管理栄養士が栄養食事相談を行い、食事の摂取状況の把握や記録も担うとされています。
食べる機能の支援も、こうした日々の相談や記録の積み重ねの中にあります。介護施設で働きながら経験を積むことは、この資格を目指す道の一つです。
相談3 委託会社にいるけれど、目指せる?
『今は委託の給食会社で働いていて、スキルアップの資格を取りたい』という相談です。この資格は、食べる機能に関わる栄養管理に通算3年以上携わっていることが要件にあります。
今の仕事で食事の形態の調整などに関わっているなら、その経験が当てはまるかを公式の案内で確かめてみてください。関わっていない場合は、まず経験を積める職場を考えるところからになります。
よくある質問
摂食嚥下リハビリテーション栄養専門管理栄養士はどこが認定していますか?
日本栄養士会と日本摂食嚥下リハビリテーション学会が共同で認定しています。日本栄養士会の専門管理栄養士の一つです。
受けるには何年の経験が必要ですか?
管理栄養士取得後5年以上の実務経験があり、かつ摂食嚥下機能に関わる栄養管理に通算3年以上携わっていることが要件です。
前提になる資格はありますか?
日本摂食嚥下リハビリテーション学会認定士の資格が必要です。両方の会の会員であることも要件に入っています。
栄養士でも目指せますか?
要件に管理栄養士の免許が含まれているので、栄養士の方はまず管理栄養士の免許を取るところからになります。
更新はありますか?
あります。過去5年間に該当分野の栄養管理に3年以上携わり、学会の認定士の資格を保っていることが条件です。
まとめ
- 日本栄養士会と日本摂食嚥下リハビリテーション学会が共同で認定する専門管理栄養士
- 管理栄養士取得後5年以上、食べる機能に関わる栄養管理に通算3年以上の経験が必要
- 学会の認定士、研修、5症例、筆頭発表または筆頭論文も要件に入る
- 食べる機能の支援は多職種で行い、管理栄養士は意見を食事と栄養の計画にまとめる
- 病院では嚥下調整食と試食会、介護施設では栄養ケア計画が主な仕事の場になる
食べる機能の支援は、いろいろな職種とともに、毎日の食事を支える仕事です。まずは今の職場で、誰とどう分担しているかを書き出すところから始めてみてください。





コメント