栄養士養成施設とは?指定の意味と学校の種類

栄養士養成施設の指定の意味と学校の種類を解説する記事のアイキャッチ

当サイトの記事は編集部が厚生労働省・文部科学省などの公的機関や日本栄養士会など公式団体の公開情報、読者の声を調べて独自に執筆しています。

『栄養士養成施設って、普通の学校と何が違うの?』『学校案内に書いてある「指定」ってどういう意味?』と疑問に思った方も多いですよね。進路を調べ始めると、最初に引っかかりやすい言葉なんです。

結論から言うと、栄養士養成施設とは、厚生労働大臣から指定を受けて栄養士を育てる学校のことです。ここを卒業しないと、栄養士の免許は申請できません。

この記事では、指定の意味と学校の種類、管理栄養士養成施設との違いが、卒業後にできることで分かります。

目次

栄養士養成施設とは?指定を受けた学校のこと

先に結論

栄養士法では、栄養士免許は厚生労働大臣が指定した栄養士の養成施設で2年以上学んだ人に、都道府県知事が与えるとされています。指定を受けていない学校では、栄養士の免許は取れません。

栄養士法第2条では、栄養士の免許を受けられるのは、指定された養成施設で「二年以上」必要な知識と技能を身につけた人です。つまり、栄養士養成施設は栄養士になるための入り口そのものなんです。

養成施設に入れるのは、大学に入学できる資格を持つ人です。高校を卒業した人なら、年齢に関係なく入学を目指せます。

例えば、会社で働いている社会人が学び直す場合も、高校を卒業していれば入学の資格はあります。年齢よりも、昼間に通い続けられるかどうかが現実的な課題になりますね。

項目栄養士法での決まり
指定するところ厚生労働大臣
学ぶ期間2年以上
入学できる人大学に入学できる資格を持つ人
卒業後都道府県知事に栄養士免許を申請できる

栄養士の資格そのものについては、栄養士とは?で詳しく紹介しています。

「指定」があるかどうかで何が変わる?

『栄養の勉強ができる学校なら、どこでも栄養士になれるんじゃないの?』と思いますよね。実は、栄養や食物を学べる学科でも、指定を受けていなければ栄養士の免許は申請できません。

学校を調べる時は、パンフレットや募集要項に「栄養士養成施設」「厚生労働大臣指定」と書かれているかを確かめておきましょう。

よくある勘違い

学科名に「食物」「栄養」と入っているだけで、栄養士の資格が取れると思い込むケースです。指定を受けているかどうかは、学校の案内で確かめてください。

栄養士養成施設の種類と数

どの学校を出ても栄養士の資格は同じ

養成施設には大学・短大・専門学校があり、修業年限は2年から4年です。全国栄養士養成施設協会の案内でも、どの学校を卒業しても栄養士の資格は同じだと説明されています。

全国栄養士養成施設協会の案内をもとに、養成施設の種類を並べるとこうなります。

学校の種類修業年限ポイント
大学(管理栄養士養成施設)4年卒業見込みで管理栄養士国家試験を受けられる
大学(栄養士養成施設)4年卒業後に実務経験1年以上で国家試験を受けられる
短期大学2年2年で栄養士になれる
専門学校・各種学校2年・3年・4年年限によって必要な実務経験が変わる

厚生労働省の資料では、令和8年4月時点の施設数は次のとおりです。

区分(令和8年4月)施設数定員
栄養士養成施設(管理栄養士養成施設を除く)128施設(2年制103、4年制25)7,667人
管理栄養士養成施設151施設10,925人

栄養士を育てる学校のうち、2年制が多いことが分かりますよね。短大の学び方は栄養士の短大で学ぶこと、専門学校の選び方は栄養士の専門学校の選び方でまとめています。

昼間部だけで、夜間や通信はない

栄養士養成施設は昼間部だけで、通信教育や夜間部の学校は指定されていません。栄養士養成施設指導要領(平成13年)でも、夜間部、通信教育、高校の専攻科による栄養士の養成は認められないとされています。

『働きながら夜に通いたい』という社会人の方もいますよね。令和8年7月の厚生労働省の専門委員会資料では、夜間部を2028年度から設置できるようにすることを目指す案が示されています。

ただし、これはまだ「案」で、決まったことではありません。通信制は、夜間部の様子を見て検討するとされています。最新の動きは、厚生労働省の発表で確かめてみてください。

校外実習も決められている

栄養士法施行規則では、「給食の運営」の校外実習を1単位以上行うこととされています。行き先の例は、学校給食センター、事業所、保育所などです。

教室で学ぶだけでなく、実際の給食の現場を体験することが、栄養士を育てる仕組みに組み込まれているんです。

国の資料から見える養成施設の今

厚生労働省の専門委員会資料(令和8年7月)では、栄養士養成施設の卒業者数と、栄養士の仕事への就職者数は、平成28年から令和7年にかけて半分になったとされています。

一方で、同じ資料では栄養士の有効求人倍率は約4倍で推移しているとされています。育つ人が減る中で、現場では栄養士が求められ続けている、という見方ができますよね。

養成施設の多くは、全国栄養士養成施設協会に加盟しています。協会の案内では、指定認可栄養士養成施設252校のうち247校が加盟しています(令和8年現在)。

栄養士養成施設と管理栄養士養成施設のちがいを卒業後で比べる

違いが出るのは「卒業した後」

どちらを出ても栄養士の免許は申請できます。違うのは、管理栄養士国家試験をいつ受けられるかです。

ここがこの記事でいちばん伝えたいところです。2つの養成施設の違いを、学校の中身ではなく「卒業後にできること」で並べてみました。

卒業後にできること栄養士養成施設管理栄養士養成施設
栄養士免許の申請できるできる
管理栄養士国家試験の受験栄養士として実務経験を積んでから卒業見込みで在学中に受けられる
必要な実務経験2年制は3年以上、3年制は2年以上、4年制は1年以上不要
栄養教諭の免許状の基礎資格短大卒なら二種の基礎資格(短期大学士+栄養士免許)一種の基礎資格(学士+課程修了かつ栄養士免許など)

管理栄養士国家試験の受験資格は、栄養士法第5条の3で決められています。受験資格の細かい決まりは、管理栄養士国家試験の受験資格で詳しく紹介しています。

栄養士養成施設と管理栄養士養成施設を卒業後にできることで比べた図解

実務経験として数えられる職場

栄養士養成施設を出たルートでは、実務経験をどこで積むかも大切です。施行公告では、次のような施設で「栄養の指導」に従事した期間が実務経験とされています。

実務経験として認められる施設
  • 寄宿舎、学校、病院など、特定多数の人に継続して食事を出す施設
  • 食品の製造、加工、調理、販売を業とする施設
  • 学校、専修学校、各種学校、幼保連携型認定こども園
  • 栄養に関する研究施設、保健所など栄養の事務を扱う行政機関
  • そのほか、栄養の知識の普及や栄養の指導が行われる施設

働く場所を選ぶ時に、この一覧を頭に入れておくと安心ですよ。

『調理の仕事が中心でも数えてもらえる?』と気になる方もいるはずです。決め手は「栄養の指導に従事した期間」かどうかなので、自分の仕事内容を職場とよく確かめておきましょう。

卒業したら栄養士免許を申請する

養成施設を卒業しただけでは、まだ栄養士ではありません。都道府県知事に免許を申請し、栄養士名簿に登録されて免許証が交付されます。

東京都の案内では、申請に卒業証明書と栄養士養成課程単位履修証明書を使います。どちらも養成施設が出す書類なので、卒業前に学校からの案内を確かめておきましょう。

申請の流れは、栄養士免許の申請方法で詳しく紹介しています。

自分に合う栄養士養成施設の選び方

「何年で」「その先どうしたいか」で決める

早く働きたいのか、管理栄養士まで一気にめざしたいのかで、合う養成施設は変わります。

選び方に迷ったら、次の判定表で自分の考えに近い行を探してみてください。

こう考えているなら候補になる養成施設
2年で現場に出て、働きながら考えたい2年制の短大・専門学校
卒業と同時に管理栄養士をめざしたい4年制の管理栄養士養成施設
栄養士として働いてから管理栄養士を受けたい2〜4年制の栄養士養成施設
学校で食の指導に関わりたい栄養教諭の課程がある学校

例えば、高校3年生で『早く働きたいけど、いつかは管理栄養士も取りたい』という場合は、2年制で栄養士になり、3年以上働いてから受験する道があります。

一方で、『最初から管理栄養士として病院で働きたい』という場合は、管理栄養士養成施設を候補にすると遠回りになりません。資格の取り方の全体は、栄養士になるには?で紹介しています。

養成施設の一覧は、全国栄養士養成施設協会の「養成施設を探す」で調べられます。

自分に合う栄養士養成施設を考え方から選ぶ判定表の図解
栄養士養成施設を比べる時に確かめたいこと
  • 厚生労働大臣の指定を受けた養成施設か
  • 管理栄養士養成施設か、栄養士養成施設か
  • 修業年限と、卒業後に必要な実務経験の年数
  • 校外実習の行き先の種類
  • 栄養教諭など、ほかに取れる課程があるか
  • 通学時間と、卒業までの学費の総額

『どれも大事そうで、どこから見ればいいか分からない』という方は、上から順に確かめてみてください。上の3つで候補をしぼり、残りで比べると迷いにくくなります。

気になる学校が見つかったら、資料を取り寄せて並べてみるのがおすすめです。比べ方は栄養士・管理栄養士の学校を資料請求で比べる方法、4年制の比べ方は管理栄養士の大学の選び方でまとめています。

栄養士ガイド

栄養士・管理栄養士の学校や講座を比べたい方へ

栄養士・管理栄養士をめざす道は、大学・短大・専門学校(養成施設)の選び方で大きく変わります。働きながら管理栄養士国家試験をめざす人には、試験対策の講座という選択肢もあります。気になる学校や講座の資料を取り寄せて、実習や国家試験の支え方、通いやすさを同じ物差しで見比べるのが近道です。比べ方のポイントをまとめました。

無料学校・講座の資料請求と比べ方を見る

栄養士の免許につながるのは、都道府県知事などが指定した養成施設です。指定の有無は学校の案内や公的機関の情報で確認できます。

栄養士養成施設についてよくある相談

公式の情報の範囲でお答えします

知恵袋などで多かった相談から3つを選び、制度の決まりをもとに考え方をお伝えします。

相談1 2年制を出て働いた場合、いつ国家試験を受けられる?

『2年制の栄養士養成施設を2024年3月に卒業して、4月から栄養士として働いた。2027年3月の国家試験は受けられる?』という相談です。

2年制の場合は、栄養士免許を取ってから3年以上の実務経験が必要です。第41回(令和9年2月28日実施)の施行公告では、実務経験を数える期限は令和8年12月4日まででした。

2024年4月から数えると、この期限の時点ではまだ3年に届かない計算です。数え方の細かい扱いは回ごとの施行公告で決まるので、最新は厚生労働省の公式発表で確かめてみてください。

相談2 短大と専門学校、学費はどちらが安い?

『栄養士養成施設の短大と専門学校では、どちらの学費が安い?』という相談です。

学費は学校ごとに違うので、種類だけで決まるものではありません。入学金や授業料のほかに、実習費や教材費がかかる場合もあります。

気になる学校の資料を取り寄せて、2年間の総額で並べて比べてみてください。同じ年数なら、資格の面での違いはありません。

相談3 養成施設で取る科目に迷っている

『管理栄養士養成施設の1年生。将来の職種によって取る科目が変わるので悩んでいる』という相談です。

管理栄養士国家試験の受験資格に必要な科目は、養成施設の課程として学びます。悩みやすいのは、栄養教諭など選んで取る課程のほうですよね。

まだ職種が決まっていないなら、取れる課程を先生や窓口に確認し、あとから取れないものがないかを早めに聞いておくと安心です。

迷った時に役立つこと
  • 取れる課程と、申し込む時期を窓口で確かめる
  • 先輩がどの課程を取ったかを聞いてみる
  • 気になる職場の仕事内容を調べておく
あとで困りやすいこと
  • 締め切りを確かめずに後回しにする
  • 周りに合わせて何となく決める
  • 取らなかった課程を後から取れると思い込む

よくある質問

栄養士養成施設とは何ですか?

厚生労働大臣から指定を受けて、栄養士を育てる学校です。ここで2年以上学んで卒業すると、都道府県知事に栄養士免許を申請できます。

栄養士養成施設はいくつありますか?

厚生労働省の資料では、令和8年4月時点で栄養士養成施設(管理栄養士養成施設を除く)が128施設、管理栄養士養成施設が151施設です。

通信教育の栄養士養成施設はありますか?

ありません。栄養士養成施設は昼間部だけで、通信教育や夜間部は指定されていません。

栄養士養成施設を出ると管理栄養士になれますか?

栄養士免許を取り、修業年限に応じた実務経験を積むと、管理栄養士国家試験を受けられます。合格して免許を受けると管理栄養士になれます。

まとめ

この記事の要点
  • 栄養士養成施設とは、厚生労働大臣の指定を受けて栄養士を育てる学校
  • 指定のない学校では、栄養や食物を学んでも栄養士の免許は申請できない
  • 大学・短大・専門学校があり、どの学校を出ても栄養士の資格は同じ
  • 管理栄養士養成施設は、卒業見込みで国家試験を受けられる点が違う
  • 夜間部や通信教育の養成施設は、今は指定されていない

栄養士養成施設は、栄養士への入り口になる学校です。卒業後にどうしたいかを考えながら、自分に合う学校を探してみてください。

栄養士ガイド

栄養士ガイド 編集部

栄養士・管理栄養士の仕事内容、資格の取り方、管理栄養士国家試験、病院・保育園・学校・介護施設・行政など職場ごとの働き方を、公的機関の公開情報をもとに整理している情報サイトです。 公式サイト

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