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『栄養ケア・マネジメントって、言葉は知っているけど流れがつかめない』という方も多いですよね。介護施設に配属されて、急に担当になった方もいるかもしれません。
結論から言うと、栄養ケア・マネジメントは、入所者一人ひとりの栄養の状態を確かめて計画を作り、様子を見ながら見直していく一連の流れです。管理栄養士が中心になり、いろいろな職種と一緒に進めます。
この記事を読めば、スクリーニングから見直しまでの1サイクルが、手順表でひと目でつかめます。
栄養ケア・マネジメントとは?
厚生労働省の資料では、栄養ケア・マネジメントは、低栄養のリスクにかかわらず入所者全員に、それぞれの状態に合わせて行うものとされています。低栄養の予防や改善を通じて、自立の支援や重度化の防止を進めるのがねらいです。
ここでは、厚生労働省の介護保険最新情報Vol.1217(令和6年3月15日)に入っている「施設サービスにおける栄養ケア・マネジメント」の資料をもとに説明します。
まずは、基本の考え方を表で押さえておきましょう。
| 項目 | 資料に書かれている内容 |
|---|---|
| 対象 | 低栄養のリスクにかかわらず、入所者全員 |
| ねらい | 低栄養状態などの予防・改善を図り、自立支援・重度化防止を進める |
| 位置づけ | ケアマネジメントの一環として、一人ひとりに合った栄養ケアを行う |
| 体制づくり | 施設長が、管理栄養士とほかの職種が共同で取り組む体制を整える |
| 管理栄養士の役 | ほかの職種との連絡調整を行う |
『リスクが高い人だけを見ればいいんじゃないの?』と思う方もいますよね。実は、資料ではリスクの高さに関係なく全員が対象とされています。
リスクが低い人も含めて定期的に見ていくからこそ、小さな変化に早く気づけるんです。
手順は施設があらかじめ決めておく
資料では、スクリーニング、アセスメント、栄養ケア計画、モニタリング、評価といった手順を、施設があらかじめ定めておくことになっています。
人が入れ替わっても同じ流れで進められるように、施設ごとの手順書があるはずです。担当になったら、まずそれを探してみてください。
病院の栄養管理と比べると
病院でも、入院した時に栄養状態を確かめ、必要な患者に栄養管理計画を作って定期的に評価する仕組みがあります。確かめて、計画して、見直すという骨組みは同じです。
違うのは、介護の施設では入所者が長く暮らすという点です。数か月から年単位で見ていくので、3か月ごとの再スクリーニングのように、決まった間隔で何度も見直すことが大切になります。
病院での栄養管理は、病院の管理栄養士の仕事|入院患者の栄養管理とチーム医療で紹介しています。
スクリーニングから見直しまで、1サイクルの手順表
栄養ケア・マネジメントは、一度計画を作ったら終わりではありません。確かめる、計画する、実施する、見直す、をくり返すサイクルとして考えると分かりやすくなります。
資料に書かれている流れを、「いつ・誰が・何をするか」の手順表にまとめました。間隔はいずれも資料に書かれている目安です。
| 段階 | いつ | 中心になる人 | すること |
|---|---|---|---|
| 1 栄養スクリーニング | 入所後遅くとも1週間以内 | 介護支援専門員が管理栄養士と連携 | ほかの職種と共同で低栄養のリスクをつかむ |
| 2 栄養アセスメント | スクリーニングのあと | 管理栄養士 | 入所者ごとに解決したい課題をつかむ |
| 3 栄養ケア計画の作成 | アセスメントのあと | 管理栄養士がほかの職種と共同で | 栄養の補給、栄養食事相談、職種の分担などを決める |
| 4 説明と同意 | 計画ができたら | 介護支援専門員など | 施設サービス計画とあわせて入所者・家族に説明する |
| 5 栄養ケアの実施 | 毎日 | 管理栄養士と給食の担当者 | 一人ひとりに合わせた食事を出し、様子を記録する |
| 6 モニタリング | 低リスクはおおむね3か月ごと、高リスクなどはおおむね2週間ごと | 管理栄養士 | 計画どおり進んでいるかを確かめる |
| 7 再スクリーニング | リスクにかかわらず3か月ごと | 関わる職種 | もう一度リスクを確かめる |
| 8 計画の変更・退所時 | 必要な時・退所時 | 管理栄養士が提案 | 会議で計画を変える、退所時は総合的に評価する |

体重は、リスクにかかわらず1か月ごとに測ることになっています。高リスクの人や、経管から口で食べることへの切り替えなど栄養の取り方を変える人は、おおむね2週間ごとと間隔が短くなります。
『8段階もあると覚えきれない』と感じますよね。大きく見れば「確かめる」「計画する」「実施する」「見直す」の4つのくり返しです。
- 確かめる(スクリーニングとアセスメント)
- 計画する(栄養ケア計画を作り、説明して同意を得る)
- 実施する(食事を出し、相談に乗り、記録する)
- 見直す(モニタリングと再スクリーニングで計画を変える)
モニタリングでは何を見る?
モニタリングは、計画どおりに進んでいるかを確かめる段階です。資料に書かれている内容をもとに、ふだん見ておきたいことを挙げてみました。
- 1か月ごとの体重の変化
- 毎日の食べた量
- 食事の場面でのインシデント
- 計画に書いた食事の形が合っているか
ここで気づいたことが、次の計画の見直しにつながっていきます。
管理栄養士とほかの職種の役割分担
資料では、管理栄養士が医師・歯科医師・看護師・介護支援専門員などのほかの職種と連絡調整を行うとされています。一人で抱えず、チームで進める仕組みです。
栄養ケア・マネジメントには、いろいろな職種が関わります。資料に書かれている役割を、職種ごとに表にしてみました。
| 職種 | 主な関わり |
|---|---|
| 管理栄養士 | アセスメント、計画の原案づくり、給食の担当者への説明、記録、ほかの職種との連絡調整 |
| 介護支援専門員 | 管理栄養士と連携してスクリーニングを進め、入所者・家族に計画を説明する |
| 医師 | 計画の実施にあたって同意などを確かめる |
| 理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・歯科衛生士 | 必要に応じて計画づくりに助言する |
| 施設長 | 職種が共同で取り組む体制を整え、手順を定める |
計画の原案は、管理栄養士がサービス担当者会議で報告し、話し合いを経て完成させます。
例えば、会議ではこんなやりとりが交わされます。
「最近、食事にかかる時間が長くなっているようです」
「食事の形を見直す案を出したいので、食べる時の様子を一緒に見てもらえますか」
介護施設での管理栄養士の働き方は、介護施設・老人ホームの管理栄養士|特養・老健での仕事内容でくわしく紹介しています。
栄養ケア計画には何を書く?
資料では、栄養ケア計画に栄養の補給のしかた、栄養食事相談、ほかの職種の分担などを書くことになっています。
計画を初めて作る時は、何を書けばいいのか迷いますよね。資料に挙がっている項目を、チェックリストにしました。
- 栄養の補給のしかた
- エネルギー・たんぱく質・水分の補給量
- 療養食を使うかどうか
- 食事の形
- 栄養食事相談の内容
- ほかの職種の分担

計画ができたら、給食の実際の責任者に、一人ひとりに合わせた食事が出せるよう説明します。給食業務を委託している施設では、委託先の管理栄養士などと連携します。
計画を作ることに力を使いすぎて、毎日の記録が手薄になることがあります。資料では、食べた量やインシデントなどの把握と、経過の記録も管理栄養士の仕事とされています。見直しの材料になるのは毎日の記録です。
家族の意向はどう聞く?
『計画書を作る時に、家族の意向を聞かせてほしいと言われた』という場面もあるはずです。計画は、施設サービス計画とあわせて入所者や家族に説明し、同意を得ることになっています。
意向を聞く時は、専門用語を避けて、食事の場面に近い言葉で聞くのがコツです。
「ご自宅では、どんなおかずをよく召し上がっていましたか」
「食事の時間で、大事にしてほしいことはありますか」
栄養管理プロセス(NCP)とはどう違う?
栄養ケア・マネジメントは介護の施設での栄養管理の流れ、栄養管理プロセスは栄養管理の手法を国際的にそろえるための考え方です。重なる部分が多いので、両方知っておくと記録が書きやすくなります。
日本栄養士会によると、栄養管理プロセス(NCP)は、アメリカ栄養士会の提案で始まった栄養管理の手法です。栄養アセスメント、栄養診断、栄養介入、栄養モニタリングと評価の4段階で進めます。
- 介護の施設での栄養管理の流れ
- スクリーニングから見直しまでをくり返す
- ほかの職種との分担を計画に入れる
- 栄養管理の手法の国際的な型
- アセスメントから評価までの4段階
- 栄養診断を一文で書く書き方がある
栄養診断を短い一文で書く方法は、PES報告と呼ばれています。根拠、原因、問題の3つをつないで書くので、計画の理由を説明する時にも役立ちます。
施設を出たあと、自宅で暮らす人の食事を支える仕事に興味がある方は、在宅訪問管理栄養士とは?訪問栄養の仕事となるにはも読んでみてください。退所の時の連携の先に、こうした仕事があります。
栄養相談の進め方は、栄養指導とは?管理栄養士が行う栄養相談の流れもあわせて読んでみてください。
栄養士ガイド
栄養士・管理栄養士の学校や講座を比べたい方へ
栄養士・管理栄養士をめざす道は、大学・短大・専門学校(養成施設)の選び方で大きく変わります。働きながら管理栄養士国家試験をめざす人には、試験対策の講座という選択肢もあります。気になる学校や講座の資料を取り寄せて、実習や国家試験の支え方、通いやすさを同じ物差しで見比べるのが近道です。比べ方のポイントをまとめました。
無料学校・講座の資料請求と比べ方を見る栄養士の免許につながるのは、都道府県知事などが指定した養成施設です。指定の有無は学校の案内や公的機関の情報で確認できます。
よくある相談:栄養ケア・マネジメントの疑問に答えます
栄養ケア・マネジメントについての相談は、急に担当になった時の進め方や、学び直しの方法に集まっています。
よく見かける相談を要約して、資料で分かる範囲でお答えします。
引き継ぎがないまま担当になってしまった
『前の担当者からの引き継ぎもなく、栄養ケア・マネジメントをやることになった』という相談です。焦りますよね。
まずは、施設があらかじめ決めている手順と、入所者ごとの記録を探してみてください。そのうえで、次の順番で進めると落ち着いて取りかかれます。
- 施設の手順書と、入所者ごとの計画・記録の置き場所を確かめる
- 次のモニタリングや再スクリーニングの時期が近い人を書き出す
- 介護支援専門員と、会議の予定や進め方をすり合わせる
- 食事の場面に立ち会い、気になる人のメモを取る
栄養士が担当していても大丈夫?
『管理栄養士ではない栄養士が栄養ケア・マネジメントをしていても問題ない?』という相談もあります。
厚生労働省の資料では、アセスメントや計画づくりは管理栄養士が担う形で書かれています。介護報酬上の扱いについては、この記事では確かめられていないので、最新の告示や通知、または指定を受けている自治体の担当窓口で確認してください。
学び直しには何を読めばいい?
『転職の前に、栄養ケア・マネジメントを学び直したい』という方もいます。
特定の本をすすめるより、まずは元になっている厚生労働省の資料を読むのが近道です。厚生労働省 介護保険最新情報Vol.1217に、施設での流れがまとめられています。
実習で特養に来ている。何を見ておけばいい?
『管理栄養士の養成校の実習で、特養で栄養ケア・マネジメントを学んでいる』という学生さんの相談もあります。
せっかくの機会なので、計画書を見せてもらえたら、どの段階の書類なのかを手順表と照らし合わせてみてください。会議に同席できたら、管理栄養士がどの職種に何を伝えているかをメモしておくと、後で振り返りやすいです。
よくある質問
栄養ケア・マネジメントの対象は誰ですか?
厚生労働省の資料では、低栄養のリスクにかかわらず入所者全員が対象とされています。それぞれの状態に合わせて行います。
モニタリングはどのくらいの間隔で行いますか?
低リスクの人はおおむね3か月ごと、高リスクの人や栄養の取り方を切り替える人はおおむね2週間ごとが目安です。体重はリスクにかかわらず1か月ごとに測ります。
栄養スクリーニングは管理栄養士だけで行いますか?
資料では、介護支援専門員が管理栄養士と連携し、ほかの職種と共同で低栄養のリスクを確かめる形になっています。管理栄養士だけで抱えるものではありません。
計画は誰が作りますか?
管理栄養士が、医師・看護師・介護支援専門員などと共同で作ります。原案はサービス担当者会議で報告して完成させます。
給食を委託している施設ではどうなりますか?
施設の管理栄養士が、委託先の管理栄養士などと連携して、一人ひとりに合わせた食事が出せるようにします。
まとめ
- 栄養ケア・マネジメントは入所者全員が対象
- 確かめる、計画する、実施する、見直す、をくり返すサイクル
- スクリーニングは入所後遅くとも1週間以内、再スクリーニングは3か月ごと
- 管理栄養士はほかの職種とのつなぎ役を担う
- 計画には補給のしかた、栄養食事相談、職種の分担を書く





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