栄養士から管理栄養士になるには|実務経験と受験の進め方

栄養士から管理栄養士になるには何をすればいいかを解説する記事のアイキャッチ

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『栄養士として働いているけど、いつかは管理栄養士も取りたい』と考えている方も多いですよね。でも、毎日の仕事に追われて、何から手をつければいいか分からなくなりがちなんです。

結論から言うと、栄養士から管理栄養士になるには、卒業した学校の年限に応じた実務経験を積み、国家試験に合格して免許を申請します。ポイントは「自分の実務が数えられるか」と「1年の勉強の組み立て方」の2つです。

この記事を読めば、受験できる時期の数え方と、働きながら合格を目指す1年間の進め方が分かります。

目次

栄養士から管理栄養士になるには?まずは全体像

先に結論

栄養士が管理栄養士になるには、栄養士免許を取ったあと、決められた年数の実務経験を積んでから管理栄養士国家試験を受けます。合格したら厚生労働大臣に免許を申請します。

栄養士から管理栄養士への流れを並べると、次のとおりです。

栄養士から管理栄養士になるまで
  1. 卒業した学校の修業年限に応じた実務経験を積む
  2. 秋の出願期間に、実務証明書などをそろえて出願する
  3. 冬の国家試験を受けて、合格を目指す
  4. 合格後に免許を申請し、管理栄養士名簿に登録される

栄養士は都道府県知事の免許で、管理栄養士は厚生労働大臣の免許です。同じ「栄養士」という言葉が入っていても、免許を出すところも、任される仕事の範囲も違うんです。

栄養士から管理栄養士になるまでの4つの段階を示した図解

何年働けば受験できる?

必要な実務経験の年数は、卒業した栄養士養成施設の修業年限で決まります。栄養士法と厚生労働省の施行公告にある受験資格を、表にまとめました。

卒業した学校栄養士免許を取ってから必要な実務経験
2年制の栄養士養成施設(短大・専門学校など)3年以上
3年制の栄養士養成施設2年以上
4年制の栄養士養成施設1年以上

例えば、2年制の短大を出て病院の給食部門で働き始めた人は、3年以上の実務経験を積んでから受験する形です。学校で学んだ年数と実務経験を足すと、どのルートも合計で5年以上になります。

自分が何年目に受けられるかを数えてみよう

実際に数える時は、栄養士免許を取ってから働き始めた日を起点に考えます。いくつかの例を、状況ごとに並べてみました。

状況の例必要な実務経験考え方
2年制の専門学校を出て保育園で働いている3年以上働き始めた日から、受験する回の期限の日までで3年を超えるか
4年制の栄養士養成施設を出て病院で働いている1年以上働き始めてから期限の日までで1年を超える回から受けられる
2年制の短大を出て、途中で転職した3年以上前の職場と今の職場の期間を合わせて数え、両方から証明をもらう
3年制の学校を出て社員食堂で働いている2年以上献立や栄養の管理に関わっているかも合わせて確かめる

働いていない期間があった人は、その期間を除いて数えることになります。数え方に不安がある時は、職場や厚生労働省の案内で確かめておきましょう。

管理栄養士になるルート全体を見比べたい方は、管理栄養士になるには?4つのルートも読んでみてください。

管理栄養士の実務経験として数えられる仕事・数えられない仕事

大事なのは「栄養の指導に従事した期間」

施行公告では、決められた施設で「栄養の指導に従事した」期間を実務経験としています。どこで働いたかだけでなく、何をしていたかも見られます。

ここが、栄養士の実務経験でいちばん迷いやすいところです。施行公告に書かれている施設は、次の5つです。

実務経験として認められる施設(施行公告のア〜オ)
  • 寄宿舎、学校、病院など、特定多数の人に継続して食事を出す施設
  • 食品の製造、加工、調理、販売を業とする施設
  • 学校、専修学校、各種学校、幼保連携型認定こども園
  • 栄養に関する研究施設、保健所など栄養の事務を扱う行政機関
  • そのほか、栄養の知識の普及や、栄養の指導の業務が行われる施設

『給食会社に入って調理ばかりしているけど、それも実務経験になる?』という不安はよく聞きます。施設の種類としては当てはまっても、「栄養の指導に従事した」と言えるかどうかが大切なんです。

自分の実務を見分けるための判定表

施行公告の考え方をもとに、確かめるポイントを表にしてみました。最終的な判断は、職場が出す実務証明書と厚生労働省の案内によるので、目安として使ってください。

確かめることはいの場合いいえ・分からない場合
施設はア〜オのどれかに当てはまるか次の質問へ進む職場に、施設の種類を確認する
栄養士として雇われているか次の質問へ進む雇用の名目と仕事内容を職場と確認する
献立、栄養の指導、栄養の管理に関わっているか実務経験として証明を相談できる仕事内容を書き出して職場に相談する
職場が実務証明書を書いてくれるか出願の準備に進める早めに上司や人事に相談する

『調理が中心でも、献立の作成や栄養の記録に関わっている』という方もいますよね。自分の毎日の仕事を書き出してみると、どこまでが栄養の指導に関わる仕事か見えてきます。

よくある失敗

実務経験の年数を、出願の直前になって数え直すケースです。数える期限は回ごとに決まっていて、第41回の施行公告では令和8年12月4日まででした。転職している人は、前の職場の期間も含めて早めに確認しておきましょう。

転職していても実務経験は足せる?

実務経験は、複数の職場の期間を合わせて考えることになります。その場合は、それぞれの職場に実務証明書を書いてもらう必要があります。

前の職場に連絡しにくい方もいるかもしれません。ただ、出願の時期になって慌てないように、在職中のうちに証明をお願いしておくと安心です。

受験資格のくわしい中身は、管理栄養士国家試験の受験資格でまとめています。

働きながら受ける人は合格率をどう見ればいい?

栄養士養成課程の既卒は1割ほど

厚生労働省の発表では、第40回の栄養士養成課程(既卒)の合格率は11.0%でした。新卒の管理栄養士養成課程と比べると、大きな差があります。

まずは数字を落ち着いて見てみましょう。第40回(令和8年)と第39回(令和7年)の区分ごとの結果です。

区分第39回 合格率第40回 合格率
管理栄養士養成課程(新卒)80.1%79.3%
管理栄養士養成課程(既卒)11.1%9.4%
栄養士養成課程(既卒)11.7%11.0%

第40回の栄養士養成課程(既卒)は、5,120名が受験して564名が合格しています。『やっぱり難しいんだ』と感じた方もいますよね。

ただ、この数字には、準備が十分でないまま受けた人も含まれています。合格基準は1問1点で200点中120点以上なので、出題数の多い科目から計画的に点を積み上げることが大事なんです。

既卒の受験で時間が足りなくなる理由

『現場で働いているのに、どうして既卒の合格率は低いの?』と不思議に思う方もいるはずです。いちばん大きいのは、勉強に使える時間の差です。

在学中の学生は、授業や学校の対策で試験の科目に毎日触れています。働きながら受ける人は、仕事のあとの限られた時間で9科目を回さなければなりません。

だからこそ、1年の計画を先に決めて、毎日少しずつ積み上げる進め方が向いています。次の章で、そのための1年間のカレンダーを紹介しますね。

試験の日程や合格基準は回ごとに変わることがあるので、最新は厚生労働省の公式発表で確認してください。

栄養士の実務経験は試験でも武器になる

国家試験には、知識を組み合わせて考える応用力試験が30問あります。現場で献立を立てたり、食べる人の様子を見たりした経験は、こうした問題を考える時の土台になります。

職場の経験結びつきやすい科目
給食の献立・発注・衛生管理給食経営管理論、食べ物と健康
病院での食事箋に沿った仕事臨床栄養学、人体の構造と機能及び疾病の成り立ち
保育園や学校での食育応用栄養学、栄養教育論
地域や行政での栄養の相談公衆栄養学、社会・環境と健康

自分の仕事に近い科目から始めると、勉強のとっかかりがつかみやすくなりますよ。

働きながら合格を目指す1年間の勉強カレンダー

試験日から逆算して4つの時期に分ける

第41回の日程をもとに、春から冬までを「土台づくり」「科目を回す」「出願と演習」「仕上げ」の4つの時期に分けて考えてみます。

ここが、この記事でいちばんお伝えしたいところです。働きながらの受験は、毎日の勉強時間が限られるからこそ、1年の流れを先に決めておくと迷いません。

第41回の施行公告では、出願は令和8年11月2日から12月4日まで、試験は令和9年2月28日です。この日程を例に、働く人向けの1年間を組み立てました。

時期の目安テーマやること
4月〜6月土台づくり実務経験の年数を確認し、出題数の多い科目から教科書を読む
7月〜9月科目を回す9科目をひと通り進め、過去の問題を科目ごとに解く
10月〜12月出願と演習実務証明書を頼んで出願し、模試で弱い科目を見つける
1月〜2月仕上げ間違えた問題を解き直し、応用力試験の形に慣れる
2月10日ごろ受験票の到着第41回は2月10日に投函とされている
3月26日合格発表厚生労働省のウェブサイトに受験番号が載る

繁忙期がある職場では、その時期に勉強が止まりやすいものです。年度末や行事の多い月を先にカレンダーに書き込み、その前後で進める量を調整しておくと、計画が崩れにくくなります。

施行公告によると、第41回の受験票は令和9年2月10日に投函されます。届いたら、試験地と時間をすぐに確かめておきましょう。

働きながら管理栄養士国家試験を目指す1年間の勉強カレンダーの図解

平日と休日で勉強の役割を分ける

『仕事のあとは疲れていて、まとまった時間がとれない』という方がほとんどですよね。平日は短い時間でできることだけ、休日はまとまった時間でしかできないこと、と役割を分けてみてください。

平日と休日の分け方の例
  • 平日の朝や通勤時間に、前日に間違えた問題を見直す
  • 平日の夜は、1科目のうち1つの単元だけ読む
  • 休日は、過去の問題をまとめて解いて時間配分に慣れる
  • 月に1回、科目ごとの進み具合を見直す

例えば、早番と遅番がある給食の現場で働く人なら、早番の日は夜、遅番の日は朝に勉強する、とシフトに合わせて決めておくのもひとつの方法です。

勉強の進め方は、管理栄養士国家試験の勉強法でもくわしく紹介しています。

独学か講座かは「一人で続けられるか」で決める

働きながら受ける人の悩みで多いのが、独学で進めるか講座を使うかです。どちらが正解ということはなく、自分の状況で選ぶのがいちばんです。

こんな時は考え方
学校を出てから時間がたち、基礎を忘れている科目の全体像をつかむまで、講座の解説があると進めやすい
自分で計画を立てるのが苦手スケジュールを管理してくれる講座が向いている
質問できる人が周りにいない質問対応のある講座だと、つまずいた時に止まりにくい
計画を立てられ、教科書を読み進められる独学で進めて、模試で弱点を補う方法もある

講座を比べる時のポイントは、管理栄養士国家試験の講座・通信講座の選び方でまとめています。資料を取り寄せて、教材や質問対応の中身を見比べてみてください。

栄養士ガイド

栄養士・管理栄養士の学校や講座を比べたい方へ

栄養士・管理栄養士をめざす道は、大学・短大・専門学校(養成施設)の選び方で大きく変わります。働きながら管理栄養士国家試験をめざす人には、試験対策の講座という選択肢もあります。気になる学校や講座の資料を取り寄せて、実習や国家試験の支え方、通いやすさを同じ物差しで見比べるのが近道です。比べ方のポイントをまとめました。

無料学校・講座の資料請求と比べ方を見る

栄養士の免許につながるのは、都道府県知事などが指定した養成施設です。指定の有無は学校の案内や公的機関の情報で確認できます。

出願から免許申請までの手続き

出願は秋、免許申請は合格のあと

出願では、実務経験ルートならではの書類が必要です。合格後は、自分で免許を申請して管理栄養士名簿に登録されます。

第41回の施行公告では、出願の際に次のような書類を出すとされています。

実務経験ルートの出願で用意するもの
  • 受験願書(収入印紙6,800円分を貼る)
  • 写真(縦6cm×横4cm、6か月以内に撮ったもの)
  • 栄養士免許証の写し
  • 卒業した栄養士養成施設の卒業証明書
  • 勤めた施設の実務証明書

出願は郵送の場合、書留で消印が締切日までのものが有効とされています。書類のどれかが足りないと出願できないので、11月に入る前にそろえておくのが安心です。

合格したあとは、免許の申請です。東京都の案内では、合格証書の原本や戸籍抄(謄)本などをそろえ、収入印紙15,000円分を用意します。交付までは2〜3か月かかるとされています。

登録済証明書が必要かは職場に聞いておく

管理栄養士として働き始める時に、免許証が届く前の証明として「管理栄養士登録済証明書」を求められることがあります。東京都の案内では、必要な場合だけ免許の申請と同時に申し込み、あとからは申請できないとされています。

転職や配置替えを考えている人は、申請の前に職場に必要かどうかを聞いておくと安心です。

栄養士から管理栄養士を目指す人のよくある相談

制度の決まりの範囲でお答えします

知恵袋などで多かった相談から3つを選び、施行公告と栄養士法をもとに考え方をお伝えします。

相談1 実務経験が2年11か月で、1か月足りない

『2年制の学校を出て、実務経験が3年いるのに2年11か月しかない。受けられる?』という相談です。あと少しなのに、と焦ってしまいますよね。

受験資格は「3年以上」なので、足りない場合はその回には出願できません。ただ、実務経験は施行公告で決められた期限までの期間で数えるので、自分がどの日まで働いた分を数えられるのかを、まず確かめてください。

その回に届かない場合は、翌年に向けて勉強の時間を長く取れると考えることもできます。焦らず、次の回を確実に狙う計画を立ててみましょう。

相談2 実務経験証明書は誰に書いてもらう?

『短大卒で3年の実務が必要。実務経験証明書はどうすればいい?』という相談です。

実務証明書は、働いた施設に証明してもらう書類です。職場が複数ある人は、それぞれの職場の分を用意します。

書いてもらうのに時間がかかる職場もあります。出願の受付が始まる11月より前に、上司や人事の担当の方に相談しておきましょう。

相談3 働きながら通える管理栄養士の学校はある?

『栄養士として働きながら、管理栄養士になるために通える学校はある?』という相談です。

今の制度では、栄養士が管理栄養士になる道は、実務経験を積んで国家試験を受けるルートが基本です。学校に通い直さなくても、実務経験を満たせば受験できます。

学校ではなく講座や問題集で勉強する人が多いのは、このためです。通う時間がいらない分、仕事の合間に少しずつ進められるのが良いところです。

『でも、一人で9科目も勉強できるかな』と不安な方もいますよね。そんな時は、科目ごとに締め切りを決めて、月ごとにどこまで進んだかを書き出してみてください。自分に合う学び方を、独学と講座の両方から考えてみてください。

早めにやっておきたいこと
  • 実務経験の年数を、期限の日から逆算して数える
  • 職場に実務証明書のお願いをしておく
  • 出題数の多い科目から勉強を始める
後回しにしがちなこと
  • 出願書類をそろえるのを11月まで待つ
  • 実務経験に数えられるかを確認しない
  • 苦手な科目を最後まで手をつけない

よくある質問

栄養士から管理栄養士になるには、学校に通い直す必要がありますか?

必要ありません。卒業した栄養士養成施設の年限に応じた実務経験を積めば、管理栄養士国家試験を受けられます。

栄養士の実務経験は、パートやアルバイトでも数えられますか?

施行公告では、決められた施設で栄養の指導に従事した期間とされています。雇用の形だけで決まるものではないので、仕事内容と期間を職場に証明してもらえるかを確認してください。

管理栄養士の実務経験はいつまでの分を数えますか?

回ごとに期限が決められていて、第41回では令和8年12月4日までとされていました。受験する回の施行公告で確認してください。

栄養士養成課程の既卒の合格率はどのくらいですか?

厚生労働省の発表では、第40回が11.0%、第39回が11.7%でした。

国家試験は何科目ありますか?

社会・環境と健康、人体の構造と機能及び疾病の成り立ち、食べ物と健康、基礎栄養学、応用栄養学、栄養教育論、臨床栄養学、公衆栄養学、給食経営管理論の9科目です。これに応用力試験が加わり、計200問です。

合格したら、すぐに管理栄養士と名乗れますか?

免許を申請して管理栄養士名簿に登録されてから名乗れます。東京都の例では、交付まで2〜3か月かかるとされています。

まとめ

この記事の要点
  • 栄養士から管理栄養士になるには、学校の年限に応じた実務経験を積んで国家試験を受ける
  • 2年制は3年以上、3年制は2年以上、4年制は1年以上の実務経験が必要
  • 実務経験は「栄養の指導に従事した期間」で、職場の証明が要る
  • 試験日から逆算し、1年を4つの時期に分けて勉強を進める
  • 合格後は免許を申請し、管理栄養士名簿に登録される

栄養士として働いている今の毎日は、管理栄養士になるための大切な準備期間でもあります。まずは自分の実務経験の年数を数えるところから始めてみてください。

栄養士ガイド

栄養士ガイド 編集部

栄養士・管理栄養士の仕事内容、資格の取り方、管理栄養士国家試験、病院・保育園・学校・介護施設・行政など職場ごとの働き方を、公的機関の公開情報をもとに整理している情報サイトです。 公式サイト

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